そうですね――平時でしたらこの犯罪が成功する確率は十五パーセントほどありました。ですが日時が悪かった。今日、この日に犯罪が成功する確率は、紛れも無くゼロです。
ひかるとガー助が営む「鳥屋」はこうして始まった。名も無き自動人形だったガー助が、その名を得た始まりのエピソードがついに語られる。『FBSP』掲載の古科学者失踪事件を追う喜一郎の短編や、ふたつのガーゴイルの邂逅の物語などを収録した、これがホントのシリーズ完結編、登場。
最初と最後のエピソードだけでも十分お腹いっぱいですね。喜一郎が絡んだエピソードは、やっぱりガーゴイルというシリーズの雰囲気とはやや浮いてる印象があるので、それを含めて、最後のエピソードでまとめてくれたのは気持ちが良かったですね。
そういった意味では、『ガーゴイルおるたなてぃぶ』のタイトルが付いていますが、本編のエピローグ的な位置づけで読んでも楽しめる一冊ですね。ガーゴイルとガー助の出会いだったり、それぞれのシリーズの主役なひかると双葉の共闘だったり、こういうノリこそがこの作品の素敵な部分だったと思います。
ふたつの物語が絡まり、ひとつになり、共に楽しい時間を過ごしていく、そんな未来を空想したり、見てみたいと思ったりしますが、とにもかくにも、これでガーゴイルという物語のシリーズはほんとうに幕。
最後の最後がこういった夢のあるエピソードで締めくくられて、何より。楽しませてもらえたなあといった感じです。
hReview by ゆーいち , 2009/02/08
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