住宅洋平さんからご寄稿いただいた Kanon SSです。
※バッドエンド系の物語ですので苦手な方は閲覧をご遠慮下さい。
Kanon side story 小さな奇跡と大きな代償
夢。永い夢。
毎日のようにあの人と会って。
一緒にお話して。
楽しそうに笑いあって。
一緒にご飯を食べて。
そして、楽しそうに家に帰る。
そんな幸せがずっと続く、幸せな夢。
Kanon side story
小さな奇跡と大きな代償
–1月-30日–
私は今日も学校に行く。
残された1週間、学校に行くと決めたから。
なんとか午前の授業をこなし、お昼休み。
いつものように、あの人のいる教室へむかい、声をかける。
中庭でお弁当をひろげて、一緒に楽しそうに食べる。食べ終えたら、楽しそうに話をして、一緒に笑う。
お昼休みが終わるまで、一緒にいてくれる、私の大切な人。
こんな、どこにでもありそうな日常が、いつまでも続いてほしい。
私はそう願っていた。
明日はあの人と2人きりでデート。
明日は、私に残された、最後の1日。
今のような幸せがいつまでも続いてほしいと願った。そして。
私は夢を見た。
–1月-31日–
明日は私の誕生日。
迎えることができない誕生日。
そして今日は。
私があの人と過ごせる最後の日。
いつものようにウインドウショッピングして、お昼ご飯を食べて、お話して笑って。
いつもと同じ時間を、私は悔いの残らないように楽しんだ。
時間が流れて、2月1日。
いつになっても体調が崩れない。
奇跡が起きた。
私の中の、小さな奇跡。
そして1年後の舞踏会の日。
その時、私は。
小さな奇跡の大きな代償を知らなかった。
現実の1月31日。
午後11時55分。
数時間前から、1人の少年が泣き続けていた。
名を相沢祐一という。
祐一の側には、1人の少女が眠っていた。
名を美坂栞という。
あと数分で、栞の誕生日。祐一は1人、その時を待っていた。
栞の誕生日を祝うために。そして、日付が変わり。
–2月-1日–
「誕生日おめでとう」
祐一は1人で、大切な人の誕生日を祝った。
その時、栞は。
わずかに微笑んだ気がした。
栞は永い眠りにつき、幸せな夢を見ていた。
大切な人が悲しんでいるとも知らず。
小さな奇跡の大きな代償。―それは―
―祐一に―
―大好きだった人に―
―耐えようもない苦しみを与えるという―
―皮肉なものだった―
―栞が―
―微笑んで見えたのは―
―たった1人―
―自分を認めてくれた―
―自分が悲しみを与えてしまった―
―いつも一緒にいてくれた人への―
―精一杯の罪滅ぼしだったのかもしれない―
あとがき
初投稿です。
東映版しか見たことがないので、色々酷い作品になってしまいました。
一応、kanon栞ルートでの別の可能性を書いてみようと思ったら夢オチとか死亡エンドとかで酷いことになりました。
酷い文を失礼しました。
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