ほうかご百物語〈5〉

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stars こんな嘘なんか吐けないし、そもそも嘘を吐く意味がないよ。あ、いや、誰かと比べてとか、見た目だけなのかとか、そういう話じゃなくてね? イタチさんはさ――何て言うのかな――そう。全部いいんだよ。

多々羅木兄妹の騒動も一段落し、進級を控えた春休み、学校の裏山で蛇を助けた真一の元に「嫁にしろ」と現れたきれいなお姉さん。いきなりな展開で登場したおしかけ女房に、イタチさんの心はフクザツ? 一方、そんなイタチさんの方も、何ものかにデートに誘われ気が気ではない真一。必死の尾行で彼女を追いかけた先で、待っていたのはなんと……!

進級して新キャラも大量投入!

春は出会いと別れの季節です。といっても、真一の周囲はあまり様変わりしないような感じですが、学年が進めば新入生も入ってくる。ということで春休みから新学期を舞台にしたお話は、なんとも賑やかなものでしたね。

そして上昇し続ける美術部の妖怪比率。いつの間にやら半数以上が妖怪になってないですか? イタチさんの登場から賑やかさを増してきたとはいえ、この大所帯では何かあったときが大変そう。

そんなことを、今回から新登場した蛇女房こと鱗さんが言ってますが。彼女もまたなかなかに良いキャラですね。真一へのおしかけ女房として登場したかと思ったら、イタチさんのささやかな嫉妬心まで煽ってみせたり。女房らしい恩返しなんてさらさらしてない、あるいは迷惑と騒動を振りまいただけのような存在ながらも、なんだかんだで最後には新しい繋がりを残していったり。別れのシーン描いておいて、アレかよとか相変わらずユルい展開で脱力しましたが、こういう新キャラ加入な流れは楽しげで良いですね。

で、そんな彼女が予言したイタチさんのピンチ。これから少なくても3度はあるという不穏ことを言ってくれたりしましたが、出会いから一念通じて育んできたお互いの愛(笑)の前にはそんな危機でさえもふたりらしく乗り越えていけるんじゃないかと、そんな風に思いますね。

真一からの一方的な愛の告白ばかりでなく、イタチさんも自分の気持ちを少しずつ彼へ伝えようとがんばってるみたいだし、もう、このバカップル一歩手前のふたりは無敵ってなもんでしょう。

hReview by ゆーいち , 2009/06/14

ほうかご百物語〈5〉

ほうかご百物語〈5〉 (電撃文庫)
峰守 ひろかず
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