『夏』

住宅洋平さんからご寄稿いただいた Kanon SSです。

 『夏』

 夏。
 それは、雪国に住む人間には過酷な季節。
 万人に等しく降り注ぐ太陽の光。
 病気の少女の最大の苦難が、夏。
 栞には少々厳しい季節な訳で…。
 
「…うーん…」
「ん、気がついたか」
 栞は倒れていた。
 日射病だか熱中症だか知らないが、とにかく倒れていた。
「あの…私は一体…」
「日射しにやられたんだ。あまり無理すんな?」
「はーい」
 返事が怪しい。
「…あれ?」
「どうした?」
「祐一さん、どこですか?目が霞んで…」
 手探りで探しているあたり、本当に見えていないらしい。
「きゃっ。…私の胸なんて触っても面白くないですよ?」
「栞、それはお前の手だ。俺のはこっち」
 祐一が栞の頭を優しく撫でる。
「祐一さんっ、く、くすぐったいですっ。で、でも気持ちいい…」
 頭の中は大丈夫なのだろうか。
 既にかなり壊れている気がするが。
「とりあえず家まで運ぶか」
「祐一さんの家ですよね?」
「何故に?」
「二人であんなことやあぁんなことをするためですよ」
「……」
 栞はこんな子ではなかったと祐一は思った。
「立てるか?」
「はい」
 二人はそのまま水瀬家に行った。
 
「ん、今度は俺か…」
 前に立っていた栞を巻き込んで、祐一はベッドに倒れた。
「ゆ、祐一さんっ。私の胸とかお尻とか触ってますっ」
「……」
 反応が無い。
「これは好きにしちゃっていいんですよね?」
 動ける範囲で自分の服を緩め、露出具合が際どいことになった。
「始めますね…」
 祐一の唇にキスする。
 …が。
 祐一は気を失っているのに突然動き始めた。
 胸を揉みほぐしお尻を優しく撫で、口内に舌を差し込んで栞を味わう。
「あぁん…祐一さん…えっちぃことは…」
 祐一は動きを止めず、栞をメロメロにした。
「もうダメ…気持ちいい…祐一さんのえっち…」
 しばらくは二人の暴走は止まらなかった。
 
「栞、大丈夫か?」
「私…もうメロメロ…」
「大丈夫みたいだな」
 端から見れば大丈夫ではない。
「祐一さん…私…」
「何だ?」
「祐一さんのことしか考えられなくなりました…だから私を…お嫁さんにしてください」
「言われなくてもそのつもりだ。これからもよろしくな」
「…はいっ!」
 
 その後、彼らは永遠に幸せだったそうだ。
 
 …そう…永遠にな…
 

あとがき

「祐一さん。あとがきの当番ですよ」
「え?あぁ、今回あとがきを担当する相沢祐一です。よろしく」
「助手の美坂栞です」
「えっと、まとめて言うと日射病とか熱中症には気を付けよう、かな?」
「それにしても相変わらず壊し方がひどいですね。これ書いた人」
「俺、普通あんなことしないんだけど…」
「私じゃ物足りませんか?」
「そんなことは…」
「ならこっちへ」
 ……。
 その後、彼らの行方を知るものは誰もいなかった…。