れでぃ×ばと!〈9〉

stars ねえ、ベルトで拘束した四季鏡さんを秋晴が無理矢理脱がそうとして、助けに入った深閑先生と二人で谷に落ちたっていう噂が白麗陵で広まっているんだけど……釈明は、ある?

従育科の生徒たちに深閑より科せられた次なるカリキュラムは、冬山の踏破。雪原でスキーだ! と浮かれていた秋晴たちに文字通り冷水を浴びせるような過酷な試練が始まった。しかし、秋晴はふとしたことから雪山で遭難。ともに難を逃れるために立ち寄った山小屋で、深閑と夜を明かすことに。濡れた衣服を脱ぎ、身体を温めるための毛布はひとつ。この、理性を試されるかのようなシチュエーションに、秋晴は……?

腹黒幼なじみの姿はドコー?

朋美が覚悟を決めて、ようやく停滞していた秋晴を巡る女の子たちの気持ちに動きが出始めるかと思いきや、相変わらずの厳しくも楽しげな白麗陵での学園生活が描かれる第9巻。

とはいえ、今回の物語はお話の本筋である秋晴の目指すものに対する様々な思いが描かれたようなエピソード3つでしたね。

それは、生徒たちを育てる立場から秋晴に語りかける深閑だったり、家が没落したことで使う側から使われる側へ正反対に立場が変わった早苗だったり、あるいはこれまでずっと彼のことを侮っていたセルニアが、風邪で臥せった場で見せた秋晴への評価の改めだったり。

羨ましいような難儀なようなトラブルに巻き込まれつつも、彼が彼の目的のために、着実に進んでいることが窺われるようなシーンが続々と。そんな秋晴が望んだ、自分の就きたい仕事と、その未来像は執事という立場より、むしろもっと親密な……とか思えてしまいますけどね。弱った状態のセルニアじゃなかったら、彼のその言葉にあらぬ誤解を抱いて、舞い上がって、さらなる騒乱を招いていたところですが、彼女のしおらしい態度は秋晴ならずとも普段とのギャップにドキドキもの。

そうして決めた彼女の決意が、次巻以降お話をさらに転がしていくんですね。今回は蚊帳の外で、けれど秋晴のトラブルに気が気じゃなかったような様子もほのめかされた朋美との、さらなる恋の鞘当てへまっしぐら? 心を決める女の子も男の子も、その姿はやっぱりまぶしくて、素敵に映るんですよね。

hReview by ゆーいち , 2009/09/19

れでぃ×ばと!〈9〉

れでぃ×ばと!〈9〉 (電撃文庫)
上月 司
アスキーメディアワークス 2009-09-10
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