駆真さん、あなた――在紗の全てが好き……そう仰いましたよね。――もし在紗の全てを知っても、本当に好きでいられますか……?
わたし、鷹崎駆真。花も恥じらうおしとやかな十七歳の女子高生。今日はうっかり寝坊しちゃって、食べかけのトーストを口にくわえ、通学路を全力疾走中。――突然始まった学園生活。いったい駆真の身に何が起きたのか!? 予測不能、斜め上の展開を見せる物語は、やっぱり駆真の在紗へのいくら注いでも尽きることのない愛情が原因で……。
[tegaki font=”mincho.ttf” color=”#dddddd” strokecolor1=”gray” strokesize1=”2″]だめだこの叔母……早く何とかしないと……![/tegaki]
あらすじとプロローグを見て( ゚д゚)ポカーンとなったわけですが、この作品はこれくらいはっちゃけてくれていた方が楽しいですね。1巻の荒唐無稽で、だけど、それを欠点と感じさせない疾走感あふれる話運びがまた味わえたかのような痛快で爽快で愉快なお話でした。
……というか、主人公であるはずの駆真のキャラがどんどんとおかしな方向へ向かっていっているんですが、大丈夫なんでしょうか(笑) いや、これまでも在紗への愛情は歪みに歪んでもはやストーカーと違わんだろうそれ、肉親への愛情じゃないよね、ラブラブだよね、と思っていましたが、今回はまさかの実力行使!? いやいや、駆真さん、それはさすがにいくら何でもおよしなさいよ的な展開で、渦中の在紗に起こっている割とシビアな問題が霞むわ霞むわ、これまでいろいろとほのめかしていた事態が一気に明らかにされて、シャレにならん状況一歩手前というのに、まったくこの駄目叔母は……。もっとやれ!
そして、ここに来て、なんだかんだでこれまでネタ的に扱われてきたあれやこれやが割と複線として機能していたことに驚きを禁じ得ません。まさか、魔王とか再登場するとか思わんでしょうに。ほかにも天由良とか霊由良とか、ああ、今したねそんなひともとか思い出しながらのドタバタな学園生活編でした。
逆に、蒼穹園を取り巻く状況と物語の根っこはどんどんと深刻さをまして行ってますね。ここに来て一気に猛威を増してきた空獣たちとその女王。表舞台に姿を現した騎士団団長・音音。在紗の出自がこれまたヘヴィな事実として、それが知られたとき巨大な障害となりそうな雰囲気ですが、それは駆真以外の人間にとってで、彼女自身は在紗がなんであれどうであれ疑いもなく全身全霊でその愛情を変えることなく注ぎ続けると確信できるんですけどね。
一難去ってまた一難な展開、これまでもなんだかんだでピンチを乗り越えてきましたが、今度の難関はちょっとやそっとじゃクリアできそうもありません。残されたわずかな時間をもってどうやって対抗していくか、我らが主人公・駆真はいったいどうする……、って……。
[tegaki font=”mincho.ttf” size=”48″]やっちまったあああ!![/tegaki]
おいおい、これはまさかの予想外の流れ。ここで次巻に続くとかずるいよなあ。この破天荒な行いだらけの主人公、お話の表舞台にここからどうやって返り咲いてくるのやら!?
hReview by ゆーいち , 2009/11/07
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