ご主人さん&メイドさま―父さん母さん、ウチのメイドは頭が高いと怒ります

stars なぜメイドである余が主人を呼ぶのに『さま』を付けねばならん。ご主人こそ余を呼び習わすときは『さま』を忘れるな。それが礼節というものだ。

ヤバイ。メイドヤバイ。まじでヤバイよ、マジヤバイ。俺のメイドヤバイ。まず偉そう。もう傲岸不遜なんてもんじゃない。超居丈高。「アンタ何様」ってその金髪メイドにきくと、胸(豊満)を張って「メイドさまである」ってかえってくる。スゲェ! なんか遠慮とか無いの。メイドなんだから嫌な顔ひとつせず従順に給仕する──と思っていた時期が俺にもありました。っていうくらいの勝手気儘ぶり。普通は絶対人間なんだから謙遜とかもする。でもそのメイドさんは全然平気。凄い。ヤバイ。とにかくお前ら、ウチに突然やってきた金髪美少女メイドのヤバさをもっと知るべきだと思います。そんなヤバイメイドと一緒にいる俺、超偉い。もっとがんばれ。超がんばれ。

[tegaki font="mincho.ttf" color="pink"]ご主人を あごで使う メイドさま[/tegaki]

よくあるおしかけメイドモノかと思ったら、その斜め上を行く役柄の配置に頭が痛くなりそう。というか、しらふでこんな設定と台詞回しを考えられる作者は、ほんと、あたまがわるいとおもいます。

まぁ、ともあれ、いきなり押しかけてきたメイドさまを自称する美少女に、速攻尻に敷かれ家主のくせにカーストの最下層に位置することになってしまった主人公・五秋陣。自他共に認めるメイド好きという属性のおかげで、そんな理不尽な生活にイケナイ快感を覚え、倒錯した主従関係がめくるめく広がっていくのを期待したらそんなことなかったんですよ?

あっという間に破壊される日常。学校生活を浸食してくる和洋様々なメイド戦士たち。そして目覚める陣に宿るご主人たる真の力! と、どうにもバカバカしいノリで始まるバトルのテンションの高さに全部持って行かれた感じ。というか、勝利条件が相手のメイド服を脱がせることで無力化する何で、いつの時代のえろげよ。ご褒美挿絵があまりないのが悔やまれる……っ!

と、なんだかメイドをテーマにしたお話を書こうかと思ったのか、思いついたネタを装飾していったらこんなノリになたのか、悩ましいところですが、おバカな話が好きなら許せるのかな。胸を打たれるとか燃えるとか、後を引く余韻に浸るタイプのお話ではなく、ただただ、この登場人物たちのハイテンションなぶつかり合いと、ギャグと、あとお色気を楽しめれば良い良い良いと。

まぁ、尊大で高貴で主人公を欠片ほども敬う気のないメイドさまが、その態度とは完全に切り離された感じで陣を本気で好いている。で、この押しかけ生活を始め、なんだかよくわからない障害にぶつかって、乗り越える過程でその気持ちをさらに深める、と、おバカなノリで進んでるわりにはふたりの関係はしっかりと進展してるあたりは気持ちいいかな。ラストの彼女の笑顔と台詞にはにやにやさせていただきました。

で、このお話は続きがあるのかな? まぁ、さまざまなメイドを好きなだけ出して、脱がせていこうってんなら、どこまでやれるか見届けさせてもらおうじゃありませんか。

hReview by ゆーいち , 2010/02/13