魔法科高校の劣等生〈5〉夏休み編+1

stars 何ですか、それはっ? わたしは変態的な性癖の持ち主だとでも思われているのですか!?

今度の『魔法科』は特別編! ウェブ未公開の最新書きおろし短編を収録! 魔法科高校生徒たちの意外なエピソードが紐解かれる!
『夏の休日』――雫の別荘に遊びに来た、達也とその友人たち。豪華なリゾート地でバカンスを堪能する中、達也に恋心を抱くほのかが気合いの一大決心を!?
『友情と信頼とロリコン疑惑』――十師族・一条家の次期当主、一条将輝。彼の友人である吉祥寺と共に過ごすプライベートとは……?
『メモリーズ・オブ・ザ・サマー』――達也と深雪が町にショッピングへと繰り出した。深雪は、デートのようなシチュエーションに心躍らせていたが……。
『会長選挙と女王さま』――三年生である真由美が、もうすぐ生徒会会長を引退するという。その後継者に、とある人物を名指しするが……。

箸休めともいえる短編集。次巻以降はまた苛烈なエピソードになっていきそうですが、それを予感させる部分もちらほらと……?

夏の休日

そうだ、海へ行こう! と突然始まるサービスシーンに思わず手を合わせたくなる?

達也に対して恋ごころを燃やすほのかのアタックと、全然さりげなくない対抗心を燃やす深雪の図にニヤニヤ。

肝心の達也は誰ともつきあえないという自分の理由――かどうか分からないのがこの主人公なんですが(笑)――を明かしてみたり。

いや、でもちょっと待ってほしい。特別な誰かを持てないというなら、みんな平等に愛しちゃえば良いじゃない! あれ、普通にハーレム完成ですね。今とどう変わるかといわれると、あんまり変わらないんじゃ? って感じですけれど(笑)

優等生の課外授業

ああ、今したね、彼。エリートでありながら、ウィードと見下す主人公に味わわされた屈辱に身もだえするあたりが、この作品のタイトルと被ってなんとも皮肉ですが、森崎くんはやればできる子。SGGKな彼と被りますけど、負けっ放しで腐ることなく、自分を磨くことに精進できるというのは、さすがというところなんでしょうね。

惜しむらくは、彼が張り合おうとしているひとたちが揃いも揃ってトンデモな世界の住人だってことで。

今回のひと夏の出逢いも、うやむやになってしまうというか、闇の世界の住人と、深く関わり合いにならなくて良かったというか、真実を知ったら彼はまた悩んでしまいそうですね。

アメリア・イン・ワンダーランド

えーと、誰? な感じで始まりましたが、実力のある血筋というのはいろいろ面倒ですね。この作品に限らず、名家と呼ばれる血統には、それに見合うだけの実力が備わっているというわけで、その一端がここで語られます。そして、それについて回る血なまぐさいしがらみも。

しかし、この世界の魔法科高校の実力者たちは、友人同士でも手の内を隠して生きてるんですよねえ。主人公の達也が最たるものですが、他のひとたちもまた自分のとっておきはやはり秘密にしておきたいのか。まぁ、一般人から比べれば明らかに超人な魔法師たちも、人間である以上、どんなトラブルに巻き込まれるか分かったもんじゃないわけで。

こういう奥の手を見せてやるぜー! 的なノリはわくわくさせられますね。俺 TUEEE! 作品の本領ですね。

友情と信頼とロリコン疑惑

つまり [tegaki size="36″]一条×吉祥寺[/tegaki] だと!

吉祥寺視点からだと ┌(┌^o^)┐ホモォ… な感じがぷんぷんとしてしまいますが、妥当一校に燃える彼らはまっとうに青春してるように見えますよねえ。主人公勢が別世界の戦いに巻き込まれたりしていると(笑)

にしても、ジョージ、もう勝ち組人生一直線じゃないか。JS な妹キャラに手を出したら犯罪だけど、あと数年待てばきっと合法的に以下略だ! 別の世界に目覚めなければね!!

メモリーズ・オブ・ザ・サマー

甘ーーーーーいっ!

司波兄妹の穏やかなる休日。でもハタから見たらこのバカップルめ!! と言いたくなるようないちゃラブを満喫させていただきました。もっと甘くしてもいいかな? みたいなことがあとがきに書いてありましたが、私は一向に構わんッッ!! というか達也が老成しすぎていて、もっと深雪のアタックにたじろぐシーンとか見てみたいんですよ、設定的に可か不可かは分からないんですけど。

ともあれ、他人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られるどころか、当人たちに手痛くお仕置きされてしまうという良い例でしたね。

会長選挙と女王さま

会長選挙戦がメインとなるかと思ったら、深雪さんプッツンしたら怖い! なお話。

というか、あずさ先輩ちょろすぎます……(笑)

達也が心配する深雪の未成熟な精神面という部分は、結局心配する主に関することで彼女が不安定になってしまうということなんですよねえ。その点で、達也は妹を甘やかしすぎる性格だから、心配の種を取り除くことは完璧には難しそう。深雪の方も深雪の方で、全身全霊をかけて達也に報いる覚悟だから、このふたりにとってみれば未完成でも今のままの関係の方が幸せなのかもしれないなあと思いました。

このエピソードで真由美会長は勇退。でも、達也との関わり方を見ていると作品から退場するわけでもなさそうだし、今回も表紙でいい笑顔見せてくれましたし、次巻以降も登場してくれるといいな。不穏な「数字落ちエクストラ」の疑念を抱いたり、彼女の性格なら首を突っ込んできそうですしね。


そんな感じの短編集。

相変わらず地の文での説明が饒舌すぎるきらいはありますが、おかげで今から未来の作品の世界観が、現代の延長として理解できる部分もあったり。

そういった部分も含めて楽しめるなら問題ないですが、説明の仕方についても露骨に説明パート入りましたー、な語り一辺倒ではなく様々な見せ方をしてほしいなんて無茶振りをお願いしたくなりました。

いや、設定資料集とか巻末に付けてくれた方が読み甲斐があったりして個人的には好きなんですけど。そういうファンブックはそのうち出そうですね。

hReview by ゆーいち , 2012/08/22

魔法科高校の劣等生〈5〉夏休み編+1

魔法科高校の劣等生〈5〉夏休み編+1 (電撃文庫)
佐島 勤 石田 可奈
アスキーメディアワークス 2012-04-10