あたしの正義に水差すなよマスコットキャラクター。正しい魔法少女だけが魔法少女やっていい、それの何が悪い? なにも悪くないっしょ。正しくない魔法少女が魔法少女やれるっていうなら、それは制度も試験も『魔法の国』もなにもかも悪い。
[tegaki size=”36″ color=”FireBrick”]魔法少女たちのデスゲーム再び![/tegaki]
前作が単巻で完結していただけにどうなるかと思われた続編。タイトル通りのリスタートとなった本作は、魔法少女たちのバトルロワイヤルから仮想空間でのデスゲームへと内容がシフトし、別の形で緊張感を提供してくれますね。
ということで始まった新しいデスゲーム。仮想空間を舞台に、単なるゲームかと思いきや、ゲーム内での死が現実の死へと直結する悪夢のような展開に翻弄される16人の少女たち。当初はゲームクリアの報酬に引かれながら攻略を目指していた彼女たちも、書き換えられてしまったルールに従って生き残りをかけて戦うことに……。
いやぁ、こういう悪趣味な展開は大変良いですね。前作はわりと好戦的なキャラが猛威を振るっていたソロプレー戦がメインでしたが、今回はゲーム開始時にパーティ分けされ、その能力を活かした集団戦の様相を呈しているのも新鮮。戦闘に特化した能力は単独では無双でも、それゆえの油断であっけなく退場してしまったりと、相手の能力をしらないための緊張感ある能力バトルはなかなか良いモノですね。まだ上巻で、バトルメインな展開は見せていませんが、少しずつ参加者が削られていく中、ゲームをクリアするための戦力が減るという現実が容赦なくのしかかり、無理ゲーじゃね? 的な流れになりつつありますね。
で、ある程度、メンバーが減ってくると、イレギュラーが誰か? という犯人捜しをしたくなるんですが、まだ手がかりが少ないのかなあ。物語開始、速攻で退場し、その死亡までほぼ確定したマジカルデイジーやマスクド・ワンダーとか、システム自体に殺されたチェルシー・マウスはともかく、生死不明だったジェノサイ子はアレで本当に退場してしまうのかとか、前作との繋がりを感じさせるトチ狂った剣士・アカネらは唐突すぎて実感の湧かない退場の仕方ですよね。いや、アカネの方は完膚なきまでに文字通りたたきつぶされたりしてるんですが、どうにもこのゲーム世界には存在を感知されていないもう一人がいたりしないのかなあという気がしないでもないですね。
あるいは、それは別視点で描かれているこのゲームのマスターの思惑が絡んでいるのかもしれませんが、ひたすらに魔法少女に歪んだ「ただしさ」を求め続けるこのマスターの正体もまた気になるところ。前作の生き残りで、自分の思う正義を体現しているスノーホワイトに憧れ、彼女に会うためだけにこの悪趣味なゲームを展開しているのだとしたら、もはやその彼女だけの正義はおよそ悪と斬り捨てられても仕方ないくらいに変わり果ててしまってるんでしょうね。
そもそも、この作品世界における「魔法少女」を生み出すシステムと魔法の国の住人たちが、ひたすらにうさんくさいのもまた現実世界の魔法少女ものへのアンチテーゼに取れますね。魔法の国の住人に選ばれ、戦うことを運命づけられるとはこういうことだという皮肉。数多ある魔法少女たちがそれぞれの正義のもとに戦ったとしたらどうなるのかとかを突き付けてくれてますね。生き残るために執るべき手段は手を取り合い協力することなのか、あるいはお互いに殺し合うことなのか。このゲームのマスターが何を求めているのか、それも彼女の正体と共に明かされるのは次巻になるのかな。
謎をばらまき、気になる引きで、下巻が非常に気になる本作。いったい誰が生き残るのか、ついに登場したスノーホワイトがどんな役割を演じるのか、楽しみですね。
hReview by ゆーいち , 2012/11/24
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