お行きなさい。どうか、あなた自身の未来にも希望がありますように。
宝条軍学校の傭兵科に通う貧乏生徒である俺・凪は、機械工学科への転科に悩む機械マニアだ。ある日、俺は廃材の山の中から少女の姿をした家政婦ロボを発見し、早速家で修理することに。「おはようございます凪」――そう言って目覚めた彼女・イリスは、だけど、家政婦ロボのくせに家事も何一つできないダメ家政婦で、しかもその正体は軍事用の人型機械体!? 嘘だろ!?
――トラブルだらけの同居生活&大暴走な学園生活。そして迫り来る正体不明の侵攻者『幽幻種』――。人類の最終兵器『神性機関』として覚醒したイリスに、世界の命運が委ねられる!!
[tegaki font=”crbouquet.ttf” size=”36″ color=”Crimson”]最終兵器はダメダメです![/tegaki]
既存シリーズ『氷結鏡界のエデン』から遡ること1000年。シェルティスのパートナーであるイリスをヒロインに据えたスピンオフストーリー始動。というか、これは完全に、エデンのネタ晴らしというか、補完小説といっても差し支えがないのかも。あちらを知っていれば様々な情報が穴埋めされている感覚を得ることができます。
けれど、幽玄種という世界の天敵と戦い続ける世界なのは変わらないけれど、まだ、『イリス』の世界には比較的余裕が感じられますね。いや、世界の75%がすでに死滅させられているとか、本来ならシャレにならない状況なのは確かなのですが、登場人物たちのノリが、進退窮まった『エデン』のそれに比べればまだコメディしてる余裕があるというか。
はい、ぶっちゃけラブコメ成分の比率が非常ーっに高いですね。いいぞもっとやれ!
偶然か運命か、スクラップ同然に廃棄されていたイリスの機体を拾ってしまったことから始まる主人公・凪の物語。軍用で、スペックは高いはずなのに、梶に関しては壊滅的。ダ
そんなこんなのラブコメ展開の後には、終盤を盛り上げるための対幽玄種戦。人間にとって強大すぎる天敵に対して抗う術もなく、
力を失いつつある禁断水晶から、その力の代執行を任されたイリス。普段はダメダメでも、ピンチの時に見せる姿の凜々しさがまた彼女を魅力的に見せますね。どちらかというと、天然なのか計算なのか凪の心をざわめかせるような無防備な姿の方が可愛らしく思うのですが。単なる戦いを描くだけでなく、彼らがどう生き、そしてどういう思いで未来に希望を繋ぐのか、それが描かれていくことに期待したいですね。
hReview by ゆーいち , 2012/11/25
- 不完全神性機関イリス 154cmの最終兵器 (富士見ファンタジア文庫)
- 細音 啓 カスカベ アキラ
- 富士見書房 2011-12-20
コメント