さぁ――ゲームをはじめよう。目標は、打倒神様ってことで♪
他種族に追い詰められ、最後の都市を残すのみの『人類種』。空と白、二人のダメ人間兄妹は、異世界では『人類の救世主』となりえるのか?
――“さぁ、ゲームをはじめよう”。
[tegaki font=”crbouquet.ttf” size=”36″]ゲーム、スタート![/tegaki]
あらゆるゲームで不敗というトンデモなゲーマーが異世界で無双するお話。ってーと、なんだか良くあるパターンなのかなあとか思っていたら、存外に熱くて手に汗握る展開に夢中になりましたよ。
武力による戦争が禁じられ、あらゆることをゲームで決める異世界。国家間の力関係さえも、ゲームの強弱で決まる上、いわゆる人間――『人類種』は他の種族に圧倒的に劣る能力ゆえに存亡の危機。そこに現代から神様に連れられてやって来た二人で一人の最強ゲーマー『
いやぁ、燃える。単純なゲームを勝負の手段にしながらも、そこは異世界、既知の常識だけで成り立つ世界なわけはなく、人類種以外の種族は超能力やら魔法やらでまさにチート。そんなのを生身で相手するんだから、この兄妹もただ者ではない……ってか十分にチートでしょう。兄の空は駆け引き、心理戦に長け裏の裏のそのまた裏まで読ませてもさらにその上を行くような人物で、そして妹の白はゲームに特化した文字通りの天才、その能力でもって理詰めのゲームならまず負けないなんて、11歳のレベルじゃあありませんよ。唯一にして最大の欠点は、二人揃っての極めつけの廃人仕様ってこと。まぁ、それくらいでなきゃあ、頂点を極め続けることなんてできないよねえ……度が過ぎてるけど(笑)
「生まれる世界を間違えたと思ったことはないかい?」 神様から投げかけられるその問いに迷いもなく頷く二人は、確かに現代で生きるのは難しいと言わざるを得ないんでしょうね。でも、異世界に飛ばされ、そこで出逢うステフや他の人間とのやりとりを見ていると、世界を間違えたというよりも時代を間違えたという感じがしてしまいますね。この兄妹、引きこもってゲームの世界へと没入していく過程は、まだほとんど語られていないけれど、お互いの卓越した能力が仇となって悲惨な目に遭っていたのは想像に難くはなくて、それが今の文字通りに分かちがたい不可分なくらいに互いに依存しまくっている関係がいびつだけれど、だからこそ面白いんですね。まさにゲーム脳、ギャルゲ脳な言動を繰り返す二人だけど、おちゃらけた軽い面と、ゲームに対する鬼気迫る真剣さ、そんな両面を備えるようになった過程も気になるところですね。
本作の魅力になるのは、やはり、全てをかけたゲーム戦。世界のルールとして定められてるがゆえ違うことは許されず、しかし、そのルールの範囲ないならあらゆる手を尽くして勝利に向かうことが許される。シンプルなゲームでも、そのルールの、認識の裏をかき思いもよらない形で勝利へと繋ぐ。『
まぁ、そんなゲームバトルの魅力もさるころながら、キャラクターも魅力ですね。文章とイラストを同一人物が担当するなんて無茶に思えることを、非常に高い完成度で成し遂げてる作者の力量スゴい。あとがきとかも絵も文章も両方書けるメリットを活かした遊びが素敵だし、文章と挿絵の祖語がないのが一番効果的に働いてますよね。妙にサービスシーンが多くて、いや、全年齢では通じないぞ? アニメ化されたらスチームジャミングとか謎の光とか確定だぞ、とか思っちゃいますが、非常に眼福でいいぞもっとやれ! まぁ、この世界にやって来て間もない兄妹に、あっさりと鴨にされて、いいように使われてるステフさんのあられもない姿をこれからも楽しませていただければ、はい。強制的に空に惚れさせられて、いつの間にやら本気になってるあたり、かなりチョロい感じのするステフさんですが、もっとおもちゃにされてひどい目に遭えばいいと思います。18禁的な意味で(笑) しかし、これ、同人誌とかの格好のネタだよなあ……世界設定的にも。
hReview by ゆーいち , 2013/02/04

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