ああ、ようやくだ。ようやくこのときが来た――。始めるぞ。真の
一方、帝政列集国は移住を始めた都市市民たちを見逃し、非を負わずに総力を注げる“都市が兵士のみとなる”時を待っていた――。
そして――決戦の刻!! 騎士の運命と剣の使命が研ぎ澄まされる最新巻!
[tegaki size=”36″]決戦の刻、来たる![/tegaki]
ついに始まる世界の命運を左右する、帝政列集国との戦い。けれど、戦いはほんの前哨戦でこの巻はおしまい。あれぇ? ここから血で血を洗う激闘が始まるかと思ったら肩すかしですね。この先どうなる!? な引きで続いたその先に収録されているのが割とお気楽な短編というのはノリが違いすぎてどんな顔をすれば良いのか分からないの!
前巻でのセシリーとアリアのコンビ復活の高揚感はどこへやら。聖剣としての『アリア』の未完成ぶりが露呈されてしまうと、一気に不穏な空気が漂ってきてしまいますね。先代の聖剣が見せたような地を切り裂くような壮絶な力が発揮できなければ太刀打ちできないといわれるヴァルバニルの脅威もそうですが、数多の魔剣を携え街へと迫る帝政列集国、シーグフリード率いる軍勢も一筋縄ではいかないこと間違いないのに、頼みの綱の聖剣がこれでは、という不安はむべなるかな。
しかし、生まれたばかりのアリアにしてみたら、自分は相手が誰だか分からないのに、自分のことを知っている体で気さくに話しかけてくる街の人々の態度というのは、親しみよりも先に疑念が先立ってしまうのも確かでしょう。そして、彼らは自分ではなく、自分の中に見える魔剣アリアや銘無しに向かって話しかけているよう。それじゃあ、そこにいる
だからこその、終盤での暴走にも似た独断専行に繋がるのかも。セシリーに守る剣だといわれても、聖剣にとっては自分は相手を傷つけるだけの凶器であるという認識が先に立っていて。そして、戦いの場はすなわち、自らの能力を存分に発揮できる待ちに待った時間。今までの汚名を返上すべしと自らを奮い立たせるような空回り気味の行動が、使い手のセシリーまで巻き込んで、逆に一気に大ピンチに……!?
ついに始まった最終決戦。そして早くも絶体絶命の危機? 万全の状態で向かえることのできなかったこの戦いの中で、かみ合わない聖剣とその担い手は、かつてのようなコンビネーションを復活させることができるのでしょうか。いや、できなければ滅ぶだけ。この背水の陣じみた布陣、どう見てもヤバいですよ!
hReview by ゆーいち , 2013/04/13
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