でも覚えておきな。獣を握る者はチャンスを得る。テーブルをひっくり返す可能性をね。経緯はどうあれアンタはそれを選択したんだ。何を想うかは様々だけど、アンタの前に道はもう一つしかない。やるべきことをやればいいんだ、迷うことはないさ。
彼女は合法・非合法を問わず危険な仕事を請け負う「死に損ない」ばかりの松倉チームで仕事を始めるが、なぜか連れて行かれたのは都内のバーガーショップ。
「こ、これ、ヤバくないですか!? 超ヤバイですよね!?」
ユリの初仕事は、なんとバーガーショップのマスコットキャラクターを襲撃することだった…!
不可思議な仕事依頼をきっかけに、銃弾と血と笑い声が飛び交う常軌を逸した夜が始まる──ユリは未来を切り開くために戦い抜けるのか!?
超ヤバいですよ!
何なのこの設定、頭おかしいんじゃないですか(褒め言葉)
銃大好きなアサウラさんが好き勝手に書くとこんな話になるのねー。ベン・トー以前の作品は未読なんですがそっちの方の雰囲気に近いようですが、ガンアクション作品なだけにばたばた人が容赦なく死んでいく結構ハードなお話でしたよ。
借金の返済のために、身体を売ることよりも銃で戦うことを選ぶ。いや、まぁ、その2択しか選択肢が残されていないというのも大概なものですが、そういう状況が常態化している日本が舞台というのも結構な異常さですよね。さらりと大きな内戦が起き、北海道が独立しているとかどうとか。でも、そんな日本の情勢はあんまり本編に絡んでこないというのも潔いかも。主人公のユリが身を寄せるチームの出自がそこにあることはすぐに分かるんですが、それを掘り下げることなく、あくまで、今、ユリたちが生きるために戦うのは、目の前の敵であるというシビアな現実。
……だがちょっと待ってほしい。その倒すべき敵が、どこかで見たことのあるピエロっぽいマスコットキャラクターなのはどういうことだ。
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,ヘ \_,. ‘ | | 丁二_ 7\、|イ _/ ̄ \
i \ ハ∟ |::::|`”ー-、,_/ /\_ _/⌒ヽ
※イメージです
これを本気で出版しようとか、オーバーラップ文庫の編集部も頭おかしいんじゃないですか(褒め言葉)。法務的にヤバそうなネタを回避しているようですがそれでも、パロディで済ませられるかどうか怪しいくらいに激似なんですけど。そんな誰でも知ってるようなキャラが狂気に駆られて殺戮の限りを尽くすとかどう考えてもおかしい。
まぁ、違和感があるとすれば、主人公側はあくまで銃器を頼りに戦うのに、件のマッド・ピエロ、ロナウダは超常の力を操るトンデモさってところかなあ。そういうのが許容されてる世界観なのかも知れないけれど、異能が飛び出すのが彼と戦ってからというのが後出しに見えてしまいますね。後半に向けてどんどんシリアスの度合いが増して、目的のために手段を選ばないユリたちのチームのやり口の方がえげつなかったりと、あくまで主人公たちのチームも正義を標榜してるとかそんなきれい事は言わずに、汚れ役であると割り切ってるあたりが潔くもありますね。
ユリにしても、もはや自分の手を汚さずにいられるような境遇ではないことを知りながらも、一歩、また一歩と道を踏み外し、そして苦悩し反吐を吐き、自分が後戻りできないことを理解していく。物語の最後の最後で、ロナウダを倒すための切り札が、本当、外道なもので、けれど自分ではもはやどうしようもなくそれを受け入れるしかないという、そこまでいたいけなヒロインを堕としていく手管がひどい。でも、そうでもしなければ自分たちが死ぬしかない。そんな理不尽な世界で、それでも生きていきたいと思うなら、もはやその生き方なんて選べない、そういうことなんでしょうね。死ぬくらいなら生きてやる、そのハングリーさを体得するまでの地獄が今回のお話。そして、これからも続いていく地獄が以降のお話ってことなんでしょうか。
いろいろ無茶な設定で、この先も危険なネタでやっていくのか怪しいところではありますが、この調子でいろんな業界にケンカ売ってくれたりしたらそれこそ痛快かも。訴えられてひどいことにならない程度に、ギリギリの橋を渡ってもらいたいものです(笑)
ああ、そして、本編とあんまり関係ない食事のシーンにむやみやたらに力が入っていて腹が減るのはお約束ですね。いっそ、料理バトルラノベとか書いてくれれば良いのにね!
hReview by ゆーいち , 2013/05/04
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