サイコメ 2 殺人姫と林監学校

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サイコメ 2 殺人姫と林監学校 書影大

獄中生活にも慣れた神谷京輔たちを待っていたのは《七つの贖罪オリエンテーリング》《大炎熱バーベキュー》など、心躍るイベント満載の校外学習。しかも引率は優しく美しい風紀委員、紗魔夜沙姫! しかし彼女は21人を殺害し “殺人姫" と呼ばれた元・連続殺人犯だった! 当然のごとく京輔に興味を示す紗魔夜に、鋭利や煉子まで対抗し始め――。恋に殺しに波乱の林監学校が幕を開ける!
LOVE=KILL! 恋するほどに危険なハードコア系ラブコメ第2弾!

前巻で噂されていた京輔を上回る殺人数で獄中に囚われていた殺人姫・紗魔夜沙姫が登場! ですわですわとどこのラブコメお嬢様かとツッコミを入れたくなりますが、よく考えなくても、この作品大別するなら多分ラブコメだったわー忘れてたわー。

登場する快楽殺人者たちはどこかぶっ飛んで壊れているものの、主人公の京輔、鋭利、舞耶は逆の意味でこの隔離された狂った空間において異端ともいえる存在になっていますね。一人は未だ自らの手を汚したことのない真人間(自称)、一人は殺したくても殺せない不完全な暗殺者、一人は望んでなどいないのに、超絶的なドジっ娘スキルで周囲の人間を巻き込んで殺してしまう危険人物。あれ、この中で一番ヤバいのって、舞耶じゃあ……?

まぁ、人外的な煉子は前巻でもトンデモな存在感を見せてくれましたが、今回はさらに化け物じみてきましたねえ。別の作品世界から飛び出してきたかのような不死身っぷりは逆に浮きまくって可笑しく映りますよ。京輔からの愛情が向けられないが故、彼のことをどれだけ深く愛しても、彼女の愛は報われることはなく、けれど、物語が進むにつれてさらに煉子の京輔への想いはどんどん、どんどん募っていく。おいおい、これはいよいよ危ないですな。恋のバトルロイヤルの行方はまだまだ分からないものの煉子のフラグが立つことなんてあり得ないくらいに殺愛がストップ高ですよ(笑)

お荷物で、うじうじしていたいじめられっ子系の舞耶も、今回のふざけた林監学校を通して、京輔にころりと逝っちゃったみたいで、三角関係は四角、五角とどんどんこじれていっていますねえ。ある意味ハーレムルート安定という所ですが、明確にデレている娘よりも気持ちを隠してる娘の方が多いような状態では、鈍感な主人公に気付けというのは酷なことでしょうかね。

読者目線ならデレッデレな鋭利には頑張って欲しいものの、前巻に続いて今回も見事なまでに噛ませ犬扱いされていて悲しいです。彼女だってスペック低いわけじゃないのに、自分で自分に枷をはめているのが難点でしょうか。いや、真人間として生きるなら、その方向で間違っていないんだけれど、彼女の、京輔を守りたいという気持ちに、自分の身体が付いてこないというのは、プライド高そうな彼女にとっては屈辱なのではないかなあ。いい雰囲気になるシーンとか結構ありつつも、まだまだいいお友だちとしか認識されていないのが不憫で仕方ない。ガンバレガンバレ。

そして、予想以上に噛ませ犬扱いされた殺人姫・紗魔夜沙姫先輩はもうね。出オチもいいところですよ。彼女が大暴れしてるシーンはもはやギャグですから。そして、うっかり踏んでしまった地雷のせいでぼろぼろになっていく様子もまたギャグという。なかなか接点がないと自分でも言っていたけれど、ひとまず現時点で煉子を除けば学院の中でも最大級に危険な人物を退けたわけで、他の学院生たちが京輔らに突っかかってくることは減っていくのかなあ。そうなると、くせ者揃いの教員たちの標的になってさらに過酷な生活に追いやられそうですが、さてさて……?

そんな隔離世界での大騒ぎとは別に、表社会でもとんでもない事件が進行中。妹ちゃん……。自ら望んで手を汚し、愛しい兄の元へと落ちていくことを選んだ可愛い妹。字面だけ見れば美談だけどやってることは惨劇ですよ。脳内では映画版「悪の教典」ばりに銃を乱射する妹ちゃんの姿が再生されていましたよ。この決断をさせるための最後の一押しも、多分学院長あたりの手引きなんでしょうなあ。そのことを京輔が知れば、我慢の限界超えちゃいそうですが、化け物揃いの教員たちに真正面からぶつかっても勝ち目はないしどう出るのやら。

見事なヤンデレと成り果てた妹ちゃんと、京輔ハーレムの面子の顔合わせは、もはや流血の予感しかしませんが、一体どうなる?

hReview by ゆーいち , 2013/05/19

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