ライトノベル感想:スレイヤーズ17 遥かなる帰路 ネタバレあり

スレイヤーズ 17
あらすじ

待望の第三部開幕! 新たな大地でリナが暴れ回る!
「――え。」気がつくと見知らぬ町にいたリナとガウリイ。見た事がない文 字、通貨、文化――ここ、もしかして『外』の世界!? 混乱しつつ、故郷に帰る道を探すのだが!? リナの新たな長い旅が始まる!

目次

まさかの第3章開幕

第2章完結の15巻が出たのが、えーと、2000年5月か……遠い昔のことですね。それでも、苦い思いが残る物語の結末だったことは今でもはっきりと覚えていますね。え、あれで終わりなの?と思いの中、外伝は出続けたものの本編はもう出ないものとばかり思っていたところ、去年唐突に発売された16巻が話題になり続巻の期待が高まって1年、ついに、ようやく、新刊が発売されましたよ! しかも正式に第3章、長丁場になりそうな新章の開幕とあっては読むしかないじゃないですか。

スレイヤーズ的異世界転移な新舞台

あらすじからも分かるように、リナとガウリィの新たな冒険の舞台は、魔族の結界の「外」の世界。ああ、そういえばそんな設定があったなと大昔の記憶を掘り起こしながら読み進めますが、その辺は序盤からの解説もしっかりとされているので、17巻目の物語としてすんなりと作品世界に入っていけます。

今となっては懐かしいノリの展開ですが「そうそうこんな感じ」という安心感がとんでもなく大きくて、すいすい読み進められますね。

リナとガウリィの夫婦漫才的な掛け合いと、犠牲になるモブの悪人たち、訪れた土地で事件に巻き込まれて、大物とのバトルに発展するという基本的な展開は一緒ですが、今回は舞台が舞台、完全にアウェーで始まる冒険だけに油断のできない展開になっていますね。

結界の「外」から帰還を目指す第3部

この新たな舞台となる「外」の世界へ飛ばされるくだりについて、なんともらしい展開ではあるのですが、ここで出会ったノースト、本来なら物語のボス格の一角ではありますよね。でも、彼の言動を見る限り、魔族はリナに対してある意味不可侵の姿勢を取るような動向が見られていて、物語の都合だったり、大人の事情を運命力で片付ける力業は、いかにもスレイヤーズらしいなあなんて感じたり。

そして、嫌がらせ的に飛ばされた未知の土地から帰還を目指す長い旅が始まるという序章的な物語を1冊書けて語っている感じですね。

人間としては最強クラスの実力を持ったまま、さらには「外」の世界では魔術の発展が「内」ほどではないというさらなる無双は間違いなしの設定ではありますが、文化も魔術の体系も異なる異国という舞台がちょっとした緊張感を生んでいるため、真っ正面からごり押しでは解決できない雰囲気がありますね。

事実、結界の外であるため、竜王の力を借りた魔術なども登場していますし、当面の脅威は魔族ではなく竜族などからなる真神教となりそうな雰囲気。竜やエルフとはどちらかというと共闘する側ではありましたが、地力でいえば人間より上の存在であるだけに、そう簡単に事が運ぶとは思えない状態ですね。

一方で、シリーズを通して人間の敵で在り続けた魔族の存在が非常に希薄な世界っぽいのが、この先どう影響してくるのか。魔族は少ないけど一方で竜やエルフなどとの対立がより根深かったりすると、それはそれで重い話にもなりそうですが。

こうして1冊読んでみると、始まり方自体は異世界転生的ではありながら、世界観・舞台設定を上手く使って物語の世界を広げて見せてくれるのは、さすが、長い歴史を積み重ねてきた下地の厚さといったところでしょうか。20年近い時間が経過して、様々な物語が生まれてきていますが、今、復活した意味を見せつけてくれると当時のファンからすると嬉しかったりしますねー。

新たな仲間を迎えてリナたちの旅は始まったばかりだ!

と書くと打ち切りっぽいですがしっかり続いてくれそうなので一安心。どことも知れぬ土地で出会った新たな仲間・ランはなかなかの実力者でかつゆるーい感じのキャラ付けですが、これは普通に裏がありそうと思っていた方がいいのかなあ。突然、敵になるとかラスボスになるとかは第2部でやってくれているので、その繰り返しはないとは思いますが、どんな思惑で二人の旅路に同行しているのか、そこも一つ注目ポイントかと。

そして、16巻では同窓会的な展開で再開したアメリアやゼルガディス、ついぜにゼロスたちの登場が果たしてあるのやら? 結界を超えて「外」に出るという、作中の歴史上でもおそらくは初の災難に巻き込まれたリナたちですが、まぁ、ゼロスの協力があれば同じことはできそうなのを、どう扱うかとかも気になります。

新シリーズのスタートとして手堅く始まったスレイヤーズ第3部、懐かしくも新鮮な気持ちで読め、ひさびさにこの物語世界に触れられてとても楽しい体験でして。そして、このストーリーがまた当分は楽しめそうだということを喜びつつ、続巻の速やかなる発行を願うばかりです。

過去シリーズの電子書籍合本版が凄いお買い得になってるんで買い戻したいかも。

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