コミック感想:ぼくたちは勉強ができない(14)わかりはじめたワタシのココロ ネタバレあり

あらすじ

思い通りにならない自分の心に戸惑い、嫌な自分を見せまいと成幸達を避ける理珠。文乃のようになりたかったと語る理珠に、成幸は特別なテストを用意し!?

好きになれない自分・好きになりたい自分

やってきました理珠りん回

13巻の引きではなかなか重い雰囲気を漂わせていた理珠さん。キャラクター持ち回りの当番回でようやく彼女の過去のエピソードもお目見えと言ったところ。

ぼくたちは勉強ができない(14) あのときは分からなかったばーばの気持ち
あのときは分からなかったばーばの気持ち

それは、理珠がどうして他者の心を理解したくなったのか、亡くしてしまった祖母の本心を理解したくて、厳しい言葉の真意を知りたくて、文系を志した彼女の原点の物語。

あわせて、文乃との出会いや二人の関係性も語られて、どちらかというと孤高な存在であったのかなあと思わされていた理珠が、その実、他者との関わりが上手にできず、コミュニケーション巧者に見えていた文乃に内心憧れていたということも分かったりしましたね。

ぼくたちは勉強ができない(14) 自分の理想の姿を文乃に見る理珠
自分の理想の姿を文乃に見る理珠

他者の心を理解して繋がりを持つことのできる文乃を羨む理珠。理珠にとって理解できない心という不確かなものをいとも簡単に成し遂げる、あらゆる意味で自分と対極な存在である彼女を、手に届かないものであると感じているのか「なりたくてもなれない自分」であると形容しています。

そんな2年前を回顧しつつ時間軸は現在へ。成幸と出会いを経て、様々な人との関係を築く中で、彼女も少しずつ他者の心が分かりかけてきたのは、本来望んでいたはずのことなのに。

見えてきたのは自分の心の嫌な部分

成幸と文乃の関係に分け入ろうとする理珠。それは、思い人が自分以外の異性と親しげにしていることに対するちょっとしたヤキモチ。12巻でも自分の気持ちをある程度、冷静に把握していたはずなのに、このシーンでは思わず身体が動いてしまったといった様子。

ぼくたちは勉強ができない(14) 無意識の嫉妬が身体を動かして
無意識の嫉妬が身体を動かして

人の心が分かるようになれば、きっと今よりも良い自分になって、嫌いだった自分が好きになれる、そう思っていたのに、気付かされたのは醜い(と勝手に思っている)嫉妬心で、友人たちのジャマをしてしまう在り様。今まで知らなかった感情をどんどん知ってしまったがゆえに、制御できず様々な感情に翻弄されてしまいます。

ぼくたちは勉強ができない(14) そんな自分が好きになれなくて
そんな自分が好きになれなくて

憧れと現実の差に絶望を覚えてしまうことは、ままあることです。しかし、理珠が期待していた「なりたい自分」への道が、今の自分の先にはないものだと気付かされてしまったことは、今までの、文系の勉強ができないということよりもさらに彼女を打ち据えたように思えます。

似たもの同士なふたり

すったもんだの末に、文乃のようになりたいと本心を明かす理珠。出会いから2年以上を過ぎて、ようやくにして本音の部分を語り始める理珠に、文乃は悲しげな表情で、彼女を大馬鹿者と断じます。

ぼくたちは勉強ができない(14) 憧れの貴女を遠くに感じて
憧れの貴女を遠くに感じて

このエピソードは、これまでの文乃や真冬先生、あすみ先輩のような劇的というような激しい起承転結はないものの、理珠の心の変化と、彼女の対極の存在としてセットで扱われてきたであろう文乃の気持ちも描いているので、静かながらもしんと染みるような優しいエピソードだと思うんですよね。

理珠が文乃のようになりたいと語ったときに浮かべた文乃の涙は、おそらくは彼女が理珠に感じていた好意を理珠自身が踏みにじったと感じたから。文乃の方は、かつて理珠の孤高の中、ただひたすらに自分の夢を追うことは間違いではないのだと、勇気をくれた理珠の姿を眩しく感じた。

ぼくたちは勉強ができない(14) 些細な言葉が文乃を救ったことを理珠は知らない
些細な言葉が文乃を救ったことを理珠は知らない

お互い気付いていないだけでなりたい自分の理想像は、ずっと身近にあったんだというそんなお話。

成幸の作戦により始まった、理珠自身を好きにならせるゲームは、そうしていつものように理珠の負けに終わるというそんなお話。理珠が、ゲームというものにすこぶる弱いという設定の上に、自分を好きに慣らせるというゲームを仕掛け、さらにそこに文乃との友情や、理珠の成長、そして成幸への恋ごころの核心というラブ方面でも畳みかけるような展開を持って来て、ここにきてようやく、緒方理珠さん、マスコット的存在から、ヒロイン的な立ち位置にシフトできたといった感じでしょうか?

ぼくたちは勉強ができない(14) ばーばの優しい嘘の理由を悟る理珠
ばーばの優しい嘘の理由を悟る理珠

祖母は自分がいなくなったとき、理珠がひとりきりになることを心配して、嘘を付いた。その嘘に気付けたのは、今こうして自分と一緒にゲームを遊んでくれる大切な友人たちができたから。ひとりでは決して得ることのできなかった答えにたどり着けたのは、文乃が、そして何よりも彼女を決して嫌うことなどないと言い切った成幸がいたからで。

ぼくたちは勉強ができない(14) その「好き」が向かう先は……
その「好き」が向かう先は……

成幸とのゲームで大敗した理珠。自分だけでなく、成幸への「大好き」を自覚して、今度はその気持ちをどう育てていくのやら。理珠やうるかを応援したい文乃もまた、自分の気持ちに戸惑う部分もあるし、友情と恋ごころの狭間で懊悩するヒロインズの姿に、これからもやきもきしたり微笑ましく思ったりとラブコメの醍醐味を味わわせてもらえそうですね。

それ以外のエピソードはやはり真冬先生強し!

理珠のエピソードが3話、それ以外のエピソードが6話と、ボリュームとしては理珠りん当番回の話数はそれほど多くないのですが、単発エピソードはなかなか物語の進展がないので、箸休めの感が強いですね。さらに、今巻では圧倒的強さで人気投票2冠を達成した真冬先生のスペシャルエピソードもあったりと、真冬先生の出番は相変わらず多い。

スペシャルエピソードと単発担当回で相変わらず可愛すぎる先生

ぼくたちは勉強ができない(14) 真冬先生、後輩キャラでも可愛いとか最強かよ……
後輩キャラでも可愛いとか最強かよ……

タイムトラベルなんて荒唐無稽なエピソードを何気に正史に組み込むような展開はどうかと思うのですが、この後輩キャラとしての可愛さは犯則。というか、この先生なにしても可愛いなんて最強かよ……。

ぼくたちは勉強ができない(14) ぼっちの誕生パーティ
ぼっちの誕生パーティ

そして人には見せられないプライベートでぽんこつさを発揮するところもまた素敵。この先生、今までもこうしてぼっちの誕生日、自分で祝っていたのだろうか。可愛すぎかよ。

各ヒロインもいい顔見せて見れますね

ぼくたちは勉強ができない(14) あすみ先輩とお風呂回!?
あすみ先輩とお風呂回!?

あすみ先輩とのエピソードはサービス満点。お風呂回は水着回同様、アニメで見てみたいものです。前巻でのしおらしい彼女とはうってかわって、小悪魔全開のあすみ先輩にからかわれ振り回されたい人生だった……。

ぼくたちは勉強ができない(14) やだ、うるかさん男前……っ!
やだ、うるかさん男前……っ!

うるかはうるかで好意全面に押し出しつつ、たまにこうして男前な発言したり。男女の恋愛関係でみると、この二人の関係が続いてきた時間の長さも含めて応援したいところではあるのですが、留学が確定的な状態だと、告白・失恋・吹っ切って良い笑顔で旅立ちみたいなお約束の流れが浮かんで仕方ない。みんなが幸せに成る道はどこにある!?

ぼくたちは勉強ができない(14) 望んでいないはずなのにこの距離感の近さよ
望んでいないはずなのにこの距離感の近さよ

一番こじれそうなのが文乃でしょうか。理珠やうるかを応援したいのも本心でしょうけれど、文乃自身が成幸に惹かれているのは間違いなくて、さらにことあるごとの距離感を縮めるようなエピソードが後押しして、この近すぎる距離感は冒頭の他者の気持ちに無頓着だった理珠でさえも嫉妬するレベル。むしろうるかが気付いていないっぽいところが不思議なくらいで、この辺掘り下げるとドロドロの三角四角関係で大変なことになりそうなのですが、落とし所はどうなるのでしょうか(解:ハーレムエンド)

そして受験本番迫る新年へと物語は続く

ぼくたちは勉強ができない(14) 良い笑顔で新年を迎え受験もいよいよ大詰めへ
良い笑顔で新年を迎え受験もいよいよ大詰め

物語もいよいよ佳境。本題である3人のそれぞれの受験と、成幸自身の未来を掴むための大一番が間近に迫ってきました。これまでの積み重ねが実を結ぶよう、それぞれの想いが報われるよう、幸いな結末に向けて物語が向かってくれることを願うばかりです。

余談:電子書籍版はカラーページもそのまま収録されてました

今巻だけでしょうか? BOOK☆WALKER版では人気投票のページとか雑誌掲載時カラーだったところがデンし書籍版でもカラーで収録されていますね。単行本ではどうなっているのか確認していないのですが、お得な感じで満足度が高かったですね。カラーページそのまま収録してくれるのは、かなり嬉しいです。過去巻もアップデートしてくれると嬉しいなあ。

まぁ、紙媒体はOVA付き特装版なんて素晴らしいパッケージもあるので大分悩んだのですけどね!