戦う司書と虚言者の宴

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stars 神溺教団壊滅から1年 新展開!

多大な犠牲を払い、神溺教団を壊滅に追いやった武装司書たちの戦いから1年。平静を取り戻しつつある世界の中で、年に1度のパーティを無事催せるくらいまでに至った。多くの司書たちが集う会には、マットアラストやハミュッツら、図書館のトップから、ヤンクゥら見習い、そしてそこには武装司書・神溺教団の両方からその命を狙われていたオリビアの姿もあって……。

前巻で明かされた天国の正体、武装司書と神溺教団の絶対秘密の繋がり、新たな楽園管理者となったミンスの動向、新生した神溺教団の活動、と様々な要素が絡み合いつつも、新たな展開を迎えた本作。地味な雰囲気を漂わせながらも重厚な物語でした。

今回の主人公は、天国を滅ぼす唯一の方法を知るとされる、オリビアと、ノロティにあこがれ、武装司書を志す見習いのヤンクゥ、そして天性の嘘で司書たちから神溺教団の存在を煙に巻こうとするマットアラスト。前巻のような派手な戦いはないものの、それぞれの思惑が交錯した騙し合い化かし合いが見物です。特に、自らの記憶をすら囮として、真の目的をハミュッツから最後まで隠し通したオリビアの捨て身の知略は見事。ハミュッツに対して1度ならず2度までも土をつけた彼女の、執念の結実でしたね。目的を失い腑抜けていたハミュッツに再び強い意志を宿らせる結果になってしまいましたが、彼女の破滅的な思考とそれ故の余裕が、これからの展開に大きな影響を与えてくるのは間違いありませんね。

そして、見習い・ヤンクゥの孤独な戦いと破滅の兆候。ただ、ひたすらにノロティの理想を実現しようと努力し、見せつけられたのは敵と思っていた神溺教団が、自らの村にとっては利する存在であるという矛盾した事実。そして武装司書の真の姿に気づきながらも、それを明かすことすらできず、雌伏を強いられる屈辱。その果てに歪んだ思いに至った彼は、今後悲劇的な末路を辿りそうな予感がひしひしとしてきますね。というより、武装司書の壊滅フラグ成立?

敵と味方の区別がだんだんと曖昧になってきて、主役の立ち位置に応じて世界がまるで反転したかのように見える構成はお見事ですね。最後に登場した、本当の主人公と語られた「彼」がどのような立ち位置で、この世界を生きていくのか、ようやくこの物語も本流に突入したということでしょうか。

hReview by ゆーいち , 2007/10/04

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One Trackback to 戦う司書と虚言者の宴

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booklines.net 2007年10月4日 at 20:25:01

[山形石雄] 戦う司書と虚言者の宴…

かつてバントーラ図書館と世界の人々を襲った、二日間の地獄から一年。そこかしこに傷跡は残りながらも、街は復興してきた。そして、年に一度の武装司書のパーティを無事に迎える事…

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