東方奇跡劇

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住宅洋平さんからご寄稿いただいた Kanon SSです。

※東方シリーズとのクロスオーバー要素が含まれます。

東方奇跡劇

 今は春。
 出会いを司る季節。
 妖怪の少女と人間の少年の出会い。
 
 いつの日かの商店街。
 祐一はいつものように、名雪の買い物が終わるのを待っていた。
「だいぶ慣れたけど、やっぱり寒いな…」
 そんな中、祐一の背中に何かぶつかった。
 ゆっくりと確認する。
 そこには、知らない少女が苦しそうに立っていた。
「お、おい、どうした?大丈夫か?」
 祐一が聞くと、少女は祐一に体を預けるように倒れかかった。
「病院よりうちのほうが早いな…」
 その後、祐一は少女を家へ運んだ。
 
 1時間後、祐一の部屋。
 家には誰もいなかったから、祐一が面倒を見ていた。
「…うぅ…」
 目を覚ましたようだ。
「体調はどうだ?少しは楽になったか?」
「あ、はい。おかげさまで。…あれ?」
 少女は何かに気づいた。 「あの、ここはどこ?」
 祐一は何があったかすべて話した。
「私は紅美鈴。ここに来る前は門番してた」
「えぇと、家の電話番号は?」
「でんわばんごう?」
「一応家族に連絡したいんだけど」
 美鈴は少し考えて、
「妖怪には家族なんていないよ?」
 そう言った。
 美鈴の目は真剣だった。
「そうか…。だったら、ここに居候するといい」
 祐一の目も真剣だった。
「私、妖怪だよ?何するかわからないよ?」
「他に行く場所があるのか?」
 祐一がそういった途端、美鈴が抱きついた。
「これから、よろしくお願いしますねっ」
「何故こうなるっ」
 引き剥がそうとして美鈴の頭に触れたとき、
「まさかお前、風邪引いてる?」
「ちょっとだけ頭がボーッとしてるけど、大丈夫」
 ちょっとだけ、と言っているが額が熱かったし、顔も火照っていた。
「最近、ちゃんと食べてるか?」
「最後に食べたのは…。2日前かな」
「そーなのかー…。って2日前!?何か持って来るから待っててくれ」
 祐一はそう言ったが、美鈴は離れなかった。
「もう、1人は嫌…。私も連れてって…。1人にしないで…」
 美鈴涙目。
 祐一は、今にも消えてしまいそうな少女を放置できなかった。
 祐一が美鈴を連れて1階に降りたとき、
「ただいま~」
 見事なタイミングで名雪が帰って来た。
「ゆーいち、何で先に帰っちゃったの?…そのゆーいちにくっついてる女の子は誰?」
『…祐一説明中…』
「…じゃあ、美鈴はゆーいちのこと、好きなの?」
 美鈴は少し考えて、
「私は、祐が好き。まだ出会ったばかりだけど、祐は私に優しくしてくれた。受け入れてくれた。だから、祐が好き」
 自分の想いを言った。
 祐一からすれば、『あの状況では放っておけないだろう』としか言えなかった。
「こんなに可愛い女の子が困ってたのに、無視して放置ってわけにもいかないだろ」
 名雪は続けて、祐一に聞いた。
「ゆーいちは美鈴のこと、好きなの?」
 祐一は悩んだ。
 嫌いではない。
 好きかと聞かれると、非常に答えづらい。
 妖怪とか人間とかは関係なく、ただ好きかどうか。
「まだ出会ったばかりだからな…。もう少し時間が経てばわかるかもしれない」
 嫌いではないな、と祐一は付け足した。
 僅かに美鈴の目が潤んでいた。
「私、本当にここにいていいの?」
「ダメだと言ったら?」
 美鈴涙目。
 どちらかと言うと、本当に泣く寸前だった。
「ひぅ…。やっぱり…私…うぅ…」
「冗談だ、冗談だって」
 祐一が慌て言う。
「ぐすん…。本当…?」
 美鈴は泣き止んだ。かろうじて。
 祐一はゆっくりと美鈴を抱きしめて、
「まぁ、嫌なら別にいいんだが」
 そう言った。
 美鈴の顔に笑顔が戻っていた。
「…意地悪」
 …一方、名雪は…。
「うにゅう…」
 不満そうな表情だったが、どこか暖かい目で見守っている気がした。
「ぁ、そういえば美鈴、腹減ってたんじゃ…」
「う…」
 空腹のあまり、美鈴は膝をついた。
「カレーでもいいな?」
 答えを聞くより先に、祐一は料理を始めた。
 
「ごちそうさま」
「お粗末さま」
 安心したのか、美鈴はそのまま眠り始めた。
「あら、祐一さん。その子はどちら様?」
 秋子登場。
 祐一は美鈴が妖怪であること以外全てを話した。
「寂しがり屋なら、祐一さんが一緒に寝てあげないといけませんね」
「…え?」
 秋子は何かを確認するように、美鈴の服を脱がせ始めた。
「あ、秋子さん何やって…ん?」
「やっぱりこの子、妖怪ですね」
 背中に何か書いてあった。
「美鈴は妖怪でも、女の子であることは変わりません」
 祐一は思ったことを言った。
 そして、自分の部屋に運んだ。
「本当に寂しがり屋ですから気をつけてくださいね…」
 
 翌日、学校。
 
「こんにちは。紅美鈴と言います。わからないことが多いですが、よろしくお願いします」
 先生は祐一の隣に座るように言った。
「ちょ、何で学校に…」
「学校には行くようにって言われたから」
「お、相沢、仲いいな。知り合いか?」
 北川が話に入ってきた。 「それにしても可愛いな~。あ、俺は北川。よろしく」
「そういえば美鈴、勉強大丈夫か?」
「はぅ…」
 自信が無いらしい。
 祐一がひとつ提案する。
「帰ったら勉強会だな」
 
 その後、美鈴のまわりに結構な人だかりができていたが、適当に答えながら六法全書を読んでいた。
 
 同日、家。
 
「美鈴の故郷ってどんなところなんだ?」
「えっと、人間と妖怪が共存できるところ」
 祐一は『妖怪ってそんなにいるのか』と聞こうとしたが、やめた。
「つまり、みんなが私と祐みたいに仲のいいところ」
「ぐは…」
「あと、結構平和だったかな。仕事あんまり無かったし」
 美鈴が言っているあいだ、祐一はじっくり美鈴を眺めていた。
「わ、私の顔に何かついてる?」
「こんなに可愛いのに、妖怪なんだなって」
「やっぱり、妖怪は嫌…?」
 目が潤んでいる。
「美鈴が妖怪でも、かまわない。俺は、美鈴が好きだ」
「私も、祐が好き。大好き!!」
 そう言って、祐一に抱きついた。
 
 深夜。
 
 美鈴がぼんやりと目覚め、祐一のベッドに潜り込んだ。
 そして、ゆっくりと眠った。
 
 朝。
 
 祐一が目を覚ますと、何か違和感があった。
 美鈴の吐息が耳にかかる。
「なんだ、美鈴か…。って、うわっ」
 祐一は、美鈴に抱きしめられていた。
「捕まえた…」
 ちなみに、美鈴は妖艶な笑みを浮かべていた。
 ゆっくりと顔が近づいてきたが、祐一は逃げ場がなかった。
『ちゅっ』
 しばらく祐一は動けなかった。
 
 美鈴といることが、祐一には当たり前になってきて。
 
 今は冬。
 別れを司る季節。
 
「私、そろそろ帰らなきゃ…」
 妖怪の少女は、何故自分がここに来たのかを語る。
「今日、メイド長が迎えに来るから…」
「ここに残ることはできないのか?」
「うん…」
 どこからかメイド長らしき人物が出てきた。
「迎えに来たわよ、美鈴」
「もう、行くね…」
 祐一が美鈴を引き止める。
「本当に、ここに残ることはできないのか?」
「できるわ」
 答えたのはメイド長。
「ただし、条件は2つ。ひとつ目は、あなたが美鈴を受け入れること。ふたつ目は、美鈴を泣かせないこと。もしできなければ…」
 メイド長が祐一にナイフを向ける。
「私は、あなたを殺す」
「上等だ」
 メイド長が小さく笑う。
「美鈴はあなたに預けるわ。できれば…」
 何か思いついたように、メイド長は続ける。
「たまにでいいから、遊びに来てもらえないかしら?」
「「え?」」
 2人同時に言う。
「みんな、美鈴がいないから寂しそうで…。門番の稽古もしないといけないし」
「俺は別にいいが、美鈴は?」
「私もいいよ」
「美鈴は預けるわ。でも、約束は忘れないで」
 メイド長は一瞬で帰っていった。
「…これからもよろしくな」
「うんっ!」
 
 その後、門番の稽古をしたり、喘息で辛そうな人を助けたり、『妹様』と遊んだりしたが、それは別のお話である。

おしまい

あとがき

この作品は、公共の毒電波を利用して(略)。

今回はkanon+東方。

原作破壊、申し訳ない。 長文、失礼しました。

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