なれる!SE 8 案件防衛? ハンドブック

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stars やれるものならやってみろ。もはや気分転換をしている余裕はなかった。敵方より一秒二秒でも長く対策の時間を取らねばならない。自分に足りていなかったのは戦意と気迫、あとは執念か。残りの全ての猶予を活用し相手の努力を上回ってみせる。そう、石にかじりついてでも。

とある大企業のコンペで、工兵は競合するライバル社、アルマダ・イニシアティブの新人エンジニア、次郎丸縁と出会う。同じ新卒ということで親近感を覚える工兵だったが――、アルマダはスルガシステムを脅かす超攻撃的企業だった!
次郎丸はその尖兵として新規案件のコンペはおろか、リドルトリルをはじめ既存の顧客すら奪い始め、その魔手はついに橋本のいる業平産業まで及ぶ。危機感を募らせた工兵は全力で迎え撃つ決意を固め、立華と一致団結するが!?
萌えるSE残酷物語、第8弾は決死の防衛戦!

鏡写しのライバル登場!?

前巻で思いっきり次巻へ続くをやってくれましたが、その波乱の予感さえ前触れに過ぎなかったとは!

スルガシステムが取り扱っている案件どころか、数多ある各社へぐいぐいと食い込んでくる謎の新鋭企業・アルマダ・イニシアティブ。そこの新人社員とひょんなことから知り合った工兵は、似た境遇の彼女に妙な親近感を感じたけれども、それが甘かった!

仕事に追われまくりのスルガシステム内で「暇」なんて言葉が発せられること自体がおかしいと思わなきゃ! いや、人間少しは余裕があった方がいいのは間違いないけれど、今までの彼らはまさに忙殺されまくり、特に前巻はリタイア直前まで追い詰められるくらいのハードワークが常だったのに、ライバル企業の侵食は静かにけれど確実に進行していたのですね。これ、気付いたのがまだリカバリ可能な範囲だったから良いけれど、うんうん会議で額付き合わせて話し合っていた隙に、さらなる勢いで畳みかけられていたら、かつてないくらいの危機になっていたのは間違いなさそう? アルマダ側もフットワークの軽さを活かすにはこれ以上巨大化するのは難しかったのか、それともまだまだ余力を残し戦っていたのか、微妙なところではありますが、スルガシステムのフィールドに実力はありながらも新人を配置できる層の厚さは感じられますね。トップのコネもあるし、スタッフのスキルも高い。スルガシステムがこれまで勝ち取ってきたような場面で、さらに食い込んでくるという意味でも似ているところはあるのかもしれませんね。

そんなライバル企業の新人、次郎丸縁さん。確かに工兵に似ています。新人ながらも見上げた社畜根性……もとい勤労意欲。かつて本編の中で工兵が感じていたような、修羅場の中で揉まれてこそ見つけられる可能性に魅入られてしまったまるで彼の鏡写しのような女性。けれど、手にする技能は工兵からしてみたら及びも付かないくらいの水準に達していて。そんな彼女に対して卑屈になっていたのか諦めていたのか、火が付くまでの彼はまだまだ切れ者にはなりきれていない部分もありますよね。って採用されてから9ヶ月で云々って工兵が独白していたけど、それは自分自身にも当てはまることのような気がするなあ読者はそう思っている気がするなあ。

じわじわと自社の仕事を食われつつあるスルガシステム。橋本課長もいり業平の案件を巡ってついに負けられない戦いが勃発。どこまでも似通っている自分自身に負けまいとするかのような工兵は、今までとは逆に自社の案件を守るという防衛戦に挑むことに。これまでは、若さに任せて突っ走り、機転を利かせて辛くも勝利を得てきた工兵ですが、今度は自分が同じ手管で攻められることに。こうも、自分とやり方が似通っているんじゃ、つけいる隙もあろうかと思いきや、工兵の想定の一枚も二枚も上を行かれてしまい劣勢に次ぐ劣勢。最後に打っていた秘策が功を奏したのもタイミングが良かったとしか言いようがないぎりぎりのラインでの案件防衛。この辺に関わってくるのが、今までの物語で工兵にしてやられた某社の人間だというのがなんともしびれる。敵の敵は味方を地で行くような手の回しように、工兵の得意分野が見えてくるような気がします。

いやぁ、今回は前回と違ってまっとうにすっきり終わった感じがして良かったですね。戦いに勝つことの嬉しさも、負けることの悔しさも、全身で表現してくれる次郎丸さんは割と好感が持てる人物かな。工兵とそっくりな戦い方をするだけあって、重要な局面での切り札を切るときの恐ろしさは、相対した本人ならずとも何回もお目にかかりたいとは思えない強敵ですが。彼の上司にしても、底が見えないような描かれ方で、今回のほんの一敗も、結果的に自社のスタッフが成長する糧となるなら安いものだと割り切れるような合理主義を感じます。上から下まで手広く精鋭を抱えている風情のアルマダ・イニシアティブと、再び激突する日がやってくるのかなあ? 今まで取られた仕事を再奪還しようとするとぶつからざるを得ないんだけどなあ、どうなるだろう?

室見さんにしても、今回も少しは工兵を思い遣る姿が見られてにやにや。妙な愛着が湧いたのか、手放したくないと無言で訴える仕草が微笑ましいなあ。コスプレで遊ばれ羞恥に震える姿が新鮮で、ファンサービス分かってきてるじゃないですかー。でも、工兵との趣味が微妙にずれているんで、その辺で二人は当分の間苦労しそうですね、ええ(笑)

hReview by ゆーいち , 2012/12/09

なれる!SE 8 案件防衛? ハンドブック

なれる! SE8 案件防衛?ハンドブック (電撃文庫)
夏海公司 Ixy
アスキー・メディアワークス 2012-12-08

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