ん……。
ぽかぽか。
ふわふわ。
あったかいよ。
気持ちいいよ。
お日さまの匂い。
そして。
わたしの大好きな……。
-Short Short Happiness-
『モーニングコールはわたしから』
わ。
今日はずいぶんと早起きだよ。
どうしたんだろ?
祐一より早く起きるなんて。
ふふふ。
気持ちよさそうな寝顔だね。
見ててわたしもあったかい気持ちになれるよ。
ほら。
こんなにいいお天気。
こんな日はやっぱり学校なんて面倒くさいって言うのかな?
でも、ダメだよ。
祐一と一緒の登校、わたし、毎日の楽しみなんだからね。
駆け足で過ぎる春の街並み。
ちょっと寝坊した時は、ぶつぶつ言いながらだけど、ちゃんとわたしと一緒に行ってくれるしね。
そんな所、昔から変わってないんだよね。
不器用な優しさ。
わたしが昔から大好きだった祐一の優しさ。
だから。
わたしは今も変わらないこの気持ちでいられるんだと思うよ。
ね、覚えてる?
再会したあの日、あの時のこと。
粉雪が舞い散る。
七年ぶりに見た。
祐一の姿に。
その仕草に。
その言葉に。
想い出の中の小さかった祐一の姿が重なって、嬉しかったよ。
想い出の中の祐一がそのままおっきくなってそこにいてくれたから。
あれからいつだって一緒にいたね。
いつだって一緒にいてくれたよね。
だから。
わたし。
祐一にはとっても感謝してるんだよ。
ずっとわたしの側にいてくれたこと。
悲しみの岸で祐一を拒んだときも。
それでもわたしのことを想ってくれてたよね。
ずっとわたしを支えてくれたこと。
あの祐一の言葉にどれだけ励まされたか。
いつだってひとりじゃないって思えること。
だからこうして祐一と一緒に過ごせる時間がとっても愛おしく思えるんだね。
あったかくて。
気持ちよくて。
安心できるよ。
こうして祐一に抱かれてるとね。
幸せが実感できるっていうのかな?
こうして一緒にいられるだけで。
こうして祐一の温もりを感じているだけで。
ほら。
こんなに心が満たされるよ。
とっても優しい気持ちになれるよ。
ね、祐一?
今日はわたしから起こしてあげるよ。
いつも起こされてばかりじゃ祐一に悪いし。
それに。
いつもからかわれるの、ちょっと悔しいから。
ほら、そろそろ起きる時間だよ。
ね、起きよう?
そしてまた一緒に同じ一日を過ごそうね。
わたし。
祐一と一緒の毎日が大好きなんだから。
だから、起きよう?
今日はわたしから起こしてあげるから。
ね、祐一?
「朝~、朝だよ~」
―了―
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