面白かった。7th-Gの概念核の化身とも言える四兄弟と全竜交渉部隊との個々の戦いを中盤に据え、前半で佐山や新庄にまつわる多くの秘密や伏せられていた様々な設定が明らかにされ、終盤の“軍”との戦闘の中、大将軍ハジにより語られるLow-Gの真実。Law-Gの誤りでLow-Gと名付けられたと、以前語られていたことすら全くの欺瞞で、舞台となっている世界こそが本来ならあらざるべき世界であったという事実は、まさに驚愕の一言。
正義をかざしながらも滅びろと叫ぶハジに対し、佐山が語る悪役足らんとする意志の力、対極にあるそれぞれの信念のもとで繰り広げられる熾烈極まる戦闘は、この上なく読み応えのあるものでした。
上巻にて心身ともに叩きのめされた風見の、死の危機に瀕しながらも自らの弱さを認め、しかし強くなろうとする決意は、本巻の山場の一つでしょう。本気で拍手喝采もの。今回ばかりは山場の連続で、どのシーンを取っても素晴らしいのですが、一押しは彼女を中心に据えて描かれる部分ですね。その後の出雲との会話も素晴らしいし、これまで描かれてきた彼女の内面とは少し変わった想いを見せるモノローグの数々も素晴らしい。上下間通して描かれた彼女の物語は、これまでの中でも屈指の名エピソードであったと確信します。
全竜交渉部隊の面々のキャラクターを掘り下げつつ進行してきた本シリーズも、恐らくは最終局面を迎えようとしています。あとがきに書かれた言葉を信用するならば、その物語はさほど遠くない時間に目にすることができるのでしょう。どれだけの分量になろうとも一気に刊行してほしいなぁ。
蛇足。ヒオと原川のやりとりはえろすぎると思います! 天然で誤解を振りまくヒオは、可愛すぎる。
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