電波的な彼女 ~幸福ゲーム~

電波的な彼女 ~幸福ゲーム~読了。

今巻も素晴らしい。幸福潰しの理由付けとしては、種明かしが行われるずいぶん前から予想がつくのですが、そこまでの展開が良いですね。主人公のジュウは不良になりきれない中途半端さを引きずったまま、自身の信念に従いまたしても面倒ごとに首を突っ込んでしまいます。腐れ縁・天敵とも思われた、雨の妹である光が、彼の行動のトリガーとなるあたりがジュウの本質を上手く描いているですね。円かも雪姫もなんだかんだで付き合うあたり、ジュウという主人公はこの作品世界においてよほど奇妙な人物なのでしょう。ま、彼を筆頭とした変人の集団というと実も蓋もありませんが。

や、しかし、最後の一ひねりは上手い。ホントに肝を冷やす急転直下の展開に唸らせられます。事件が解決しても、その後に残るのは爽快感ではなくやるせなさであるという点が、現代ものらしくて皮肉が効いてます。

そして、どんどん雨が可愛く思えていく絶妙さ。電波ゆんゆんでも雨ならいいかななんて、思考をジュウとダブらせて思えてしまうのは、作者の力量故でしょう。

それにしても、なんだか変なフラグが立ちまくってるなぁ。どうにも優しくない作品なだけに、レギュラーの女性陣がヒドい目に遭わないことだけを願わずにはいられません。

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