SHINO ―シノ― アリスの子守唄

SHINO ―シノ― アリスの子守唄読了。

クロスの本名の由来は、やはりなのでしょうか、と本編と関係ないことを考えてみたり。

それはそれとして、前巻に比べてずいぶんと面白くなった感じ。私の中では化けましたね。相変わらずのポエム調は健在ですが、安易なハッピーエンドに逃げずに、罪の在処と、それによる罰を冷徹に、志乃ちゃんの目を通して描いてくれる容赦のなさは好きですね。雰囲気的には『電波的な彼女』に似てるかも。

謎解きものとして、犯人がほとんど直感でわかってしまったり、その辺での物足りなさというか、予想を裏切られるしてやられた感は期待できませんが、キャラ立ちしているし、彼らの会話や関係の描写を眺めているだけでも和めて幸せな気分。いや、実際の事件としてはかなりやるせないし、結局お蔵入りしてるんじゃないかという問題はあるのですが。

閑話休題的に挿入された「微笑」は、志乃ちゃんの超推理は全然おかしくないんだよ! 思考の飛躍なんだよ! と弁護の声がどこかから聞こえてきた気もするのですが、「彼」と「彼女」の関係の儚さとか、結末の寂しさとか、その辺を想像するとかなり好みなんですよね。いや、まったくここで本筋の「惨殺アリス」を巡る物語を中断する意味はないのですけど、小編としては大変よろしゅうございました。

しかし、志乃ちゃん、可愛いですなぁ……。むしろ「たん」付けして呼んでしまいたくなる黒さと愛らしさ。「その“たん”禁止」

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