クジラのソラ 02

2013年4月18日

クジラのソラ 2 (2)読了。

アジア大会を一気にすっ飛ばして、頂点を決する世界大会へたどり着いたジュライの面々。各国の思惑が錯綜する一大イベントだけに、まさに総力戦。大会前の前哨戦とばかりに、《ゲーム》に突入する前の、プレーヤたちのリアルでの交流とかも、コミカルなシーンもシリアスなシーンも入り交じっていい感じ。

初戦にて《ゲーム》の過酷な一面を突きつけられ、そして明かされる《ゲーム》の真実。アウターシンガーの存在の意味、白いくじらの歌声、《ゲーム》優勝者の行く先、異星人たちの真意、新なる敵。これまでSF風味が強い作品かと思ったら、そこを突き抜けてかなりファンタジー色が前面に出てきた感じ。いわゆる、『発達しすぎた科学は魔法と区別が付かない』?

今回も雫は、周囲の優秀すぎるプレーヤたちに劣等感を抱いたり、チームよりもアリスとの研究を優先する(ように見えた)聖一に不信とほんの少しの嫉妬を感じたり、《ゲーム》に臨むための気持ちを失いかけたりと迷い悩んで。そして、信頼すべきチームメイトの智香や冬湖の言葉や行動に励まされ、自分を支えてくれている皆の気持ちに気づいて、再び戦いの場へ赴く決意を固める。しっかりと成長を感じさせる展開が見事。そして、雫と冬湖の百合っぽいシーンも最高(笑) 絵師さんGJ!

《ゲーム》本来の目的が、強大すぎるコズミックイーターたる存在を誘導するための単なる呼び水にすぎないという、世界を根底から覆すような真実と、アウターシンガーの先の段階を望む、ソラという存在。エピローグではなんかすごいオチで続いたけど、彼の真意がまだ読み切れないし、一枚岩ではなさそうな異星人間の綱引きなど、《ゲーム》の裏でうごめく思惑は、否応もなく雫たちを戻りようのない道に引きずり込んでいきそう。

念願の兄との再会を果たした雫、目的を達成しつつも世界大会は残すところあと3戦。さらなる強敵と相まみえたときの成長がどのように成されるのか、彼女の成長物語としても先が楽しみなシリーズです。