カーリー ~二十一発の祝砲とプリンセスの休日~

2013年4月18日

カーリー ~二十一発の祝砲とプリンセスの休日~読了。

時代に揺られる少女たちの純愛な物語。またしても発売から8ヶ月も寝かせていてごめんなさい。

今回で物語の半分が終了。厳しくも楽しくかしましい寄宿舎生活の唐突な終演で物語が閉じてしまっています。これで続編が出なきゃ生殺しなんですが、その気配が一行にないというのが非常に不安ですね……。ぜひ、物語の核心を全て明らかにして完結してほしいのですが。

唐突オルガ女学院にやってきた大国バローダの第一王女・パティことパドマバディ=カエクワッド。彼女の横暴な行動に引っかき回される寄宿舎の面々。カーリーとの蜜月(?)邪魔され、あまつさえ天敵ヴェロニカとの相部屋と、これでもかという仕打ちにぶち切れるシャーロットがラブリィ。その片想い感も、幼い独占欲も、まっすぐな嫉妬も、純粋なシャーロットの性格がこの上なく発揮されていて、本人は真剣なのに周囲から見ると微笑ましいんでしょうね。

カーリーは、いよいよ隠し通せなくなってきた自分の秘密をパティの来訪によって思いもよらず救われた形になっていますが、シャーロットとの会話が少ないせいか、最後の最後まで罪悪感に苛まれていたような感じ。途中のヒンディ語の勉強会で、ここぞとばかりにシャーロットを言葉責め(ちげー)して一人身悶える姿は非常に楽しかったのですが……。

今巻は通してパティとエドワードという身分の差を超えた壮大な恋物語と思いきや、最後の最後で全てをひっくり返す展開に驚愕。それでもプリンセスたるパティの毅然とした姿、エドワードを最後まで愛し通した姿、そしてエドワードから彼女に贈られた言葉、パティのファグマスター・ベリンダの心遣い、とあの駅のシーンは琴線を揺らしまくり。作品内の世界情勢の元では、身分ある立場の人間は純粋に恋を謳歌することもできないという切なさと、初恋の終わり。実ることなかった恋も、それはパティの中で、確実に何かを変えたという実感を伴いその後の彼女を支えていくのでしょう。

エピローグは新しい物語の始まりで、望まずに別れさせられてしまったシャーロットとカーリーの再会は、これから4年の後。シャーロットがその後どのような人生を歩み、そして再会を果たすのか、これで語られなかったらもったいなさ過ぎ。ぜひとも続編の発売を強く望む所存です。