傍観者たる『世界』そのものである存在・カイと、普通の女子高生・依泉子の恋愛物語。
カイを知覚できない他者からすれば、依泉子の恋愛は一般常識から祝福できるようなものではないのに、うまいことハッピーエンドに持って行ってますね。依泉子とカイの恋は、ほんの短い時間だったかもしれないけれど、依泉子が世界を愛することができるようになり、そして世界も依泉子を忘れず、悠久にその想いを語り続けていたという終幕がどこまでも美しく感じます。
途中に挿入される、もう一つの恋愛物語が、やたらとどろどろとして依泉子の決意を固めるステップとしてはヘビーすぎる気もするけど、そちらも紆余曲折の果てのハッピーエンドでこれまた良し。
惜しむらくは全体的に文章が不安定で、わかりづらい部分が多かったことかな。校正不足は校閲さんのミスとしても、文脈や文意の取りづらいシーンはもうちょっと手を入れて完成度を上げてほしかったかな。
執筆当時高校生だったということで、それだけでも大した力量を感じますが、執筆部分以外でも編集のサポートがもう少しあればもっと良い作品になったのではないかと思いました。
ともあれ、次の作品もチェックかな。
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