クジラのソラ 03

2007年5月23日

stars WG準決勝開幕 錯綜する思惑を背に〈ジュライ〉に立ちはだかる最大最強の敵 そして……

冬湖の第2段階アウトシンガーとしての覚醒を経て、雫率いる〈ジュライ〉は激戦必至の世界大会の準々決勝すらあっさりと突破。

その過程で少しずつ変容していく冬湖の様子に気づきながらも、彼女に対して何も有効な手を打つことのできない面々の歯がゆさとか無力感とか、本戦以上に人間関係の重みが増して行っています。雫と冬湖とか、智香とマルティナとか、聖一とアリスとか、互いに足りないところを補ったり、心を支え合ったり、そんな関係が深い信頼に基づいていたり、あるいは罵詈雑言の応酬みたいな目に見える形で伝わってきたりと、様々な人間模様が面白いです。

そして、熱い。《ゲーム》の史上を振り返ってみても、この上ないほど最強で無敵の存在だった敵を相手に一歩も引かぬ総力戦。あらゆる手段を講じ、限界を超えてもまだ届かない、そんな壁にも決して背を向けずにぶつかり、打ち砕かんとする雫の意志と、築き上げてきた絆こそが〈ジュライ〉を一つにまとめている柱。
すべてを一つに束ね、決着へ至る思考のステップが、思いの重なりが、そして鮮やかに展開されるスパイラルケージが、優秀すぎるチームメイトに劣等感や嫉妬すら抱いていた雫自身の成長を感じさせます。

また、超越的な存在かと思われていた異星人と、人類の政治的なパワーバランスが根底から覆されるような事実が明かされ、様々な思惑の入り交じる《ゲーム》の舞台裏。今回の仕掛けの首謀者の、真意と深意がどこにあるのか。衝撃的な結末で続く!
完結に至る展開がまだ予想できませんが、希望はまだ残されている? 何はともあれ、ラストエピソードが激しく楽しみです。

hReview by ゆーいち , 2007/05/23

クジラのソラ 03

クジラのソラ 3 (3)
瀬尾 つかさ
富士見書房 2007-05