三つ巴の総力戦 盾は砕け希望は散る
篤志の変異種採集者としての成長物語は、彼を中心にした『ゾディアック』『イリーガルイージス』による争奪戦に以降。今回であらかたの決着が付いてしまいますが、この先の逆転劇の画が浮かばない。というか、残り1巻で完結させるには逆境すぎだろ的な絶体絶命の窮地に陥ってるわけですが。
強者が弱者を一方的に蹂躙するという力による論理で全てを解決しようとするD・B・Eのやり口が遺憾なく発揮されて、これまでの『強者』という認識だったイリーガルイージスの面々があっさりと退場。このインフレ具合は正直どうかなと思いますが、なにやら篤志も時々刻々と人間離れしていってるようだし、最終巻のほとんどが戦闘シーンに費やされてももはや驚かないというか。
篤志側の人間は超一流の勢力に対応しきることのできない戦力で、じり貧の防衛戦を展開することを覚悟していたのが、宣戦を構築する前段階で肝心要の篤志を奪取されてしまい、今後奪還に動けるのかどうか。作中でも語られたように、「負けない」はイコール「勝つ」ではないので、どうも作品の雰囲気からすると、完全勝利を収めて大団円というような生ぬるいオチは期待できそうにないかな。
ひとり復讐に身をやつす貞教についても彼自身の決着が描かれるかどうか微妙だし。その辺も一挙解決してくれるのだろうか?
それと、これまで様々な人間関係の伏線を張っておいて、その部分にあまり触れられてないのが微妙かな。結局今回はゾディアックのメンバーの面通し的な位置づけと感じられ、次巻への準備段階なのではないかなという印象で終わってしまいましたね。まぁ、最後まで付き合いますが。
hReview by ゆーいち , 2007/06/03
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コメント
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