扉の外〈2〉

2007年6月5日

stars 紙一重の信頼と裏切りの極限状態 ゲームの勝者は果たして?

まさか続編が出るとは思っていませんでしたが、出ちゃいました、の第2巻。

続編ですが前作からの引き継いだ設定はそれほど多くなく、登場人物も一部を除いて総取っ替えになってるので、この閉鎖空間に閉じこめられてしまったクラスメイトたちの疑心暗鬼と精神的な摩耗の過程をいやらしく描いているのを楽しめるかどうかがキモかと。

前作は、ラストがかなり投げっぱなしだったのでアレで完結していたのなら、未完成という印象が残り続けたと思いますが、今回のエピソードで、また少し謎が明かされた感じがしてきます。まぁ、新しい設定も投下されて、さらに深まった謎も出てきたのですが。
最下層でただただ無気力に生き続けるクラスもあれば、今回のエピソードのように積極的に状況を打開しようと動いて、結局は元の木阿弥になるクラスもあり。一部、このゲームの真実により近づけた人間は次のステージへ移ったり、あるいは物語の結末のように外部へ放り出されたり。
徹底して「外」を描くことがない作品ですが、あるいはこの調子で脱出する人間が増えていったときに別の展開があったりするのかな? この手の密室ものは、背景が明かされると一気に陳腐化する気もするので、今後も続くのなら残りのクラスの話になるとは思いますが。

それにしても、物語の中心になる高橋や、前巻でも登場した蒼井典子の打算的な行動はなかなかにいやらしい。こういった極限状況においては、より冷静に自分をコントロールできた人間が勝ち残るのは常道かもしれないけれども、他の何十名のクラスメイト、思い通りに操られすぎ。今回もラストのどんでん返しは驚きがありましたが、次は別の方法で、このゲームのシステムに対抗してほしいな、と。

あと、女神様こと正樹愛美嬢。黒い黒いというそこかしこの意見に激しく同意。彼女の場合は、すでにある自分の立場を維持するためならば、腕輪を外すことも、自身に多少の危害が及ぶことすらの甘受し、さらにはそれを利用して人心を掌握、グループの中心・シンボルたろうとしているように思えてならないですね。下層の男子生徒たちは、無意識下に彼女の王制に下っているのではないかという感じが拭えませんね。いっそ、次はそんな彼女の転落・凋落を執拗に描いてみるのはどうか、と黒い期待に胸を躍らせてみたり。

hReview by ゆーいち , 2007/06/05

扉の外〈2〉

扉の外 2 (2)
土橋 真二郎
メディアワークス 2007-05