衝撃のどんでん返し! というか、長大なプロローグな上巻
住まう人間の誰もが多重人格者の世界。それぞれに異なる人格を活用し繁栄を誇る裏側で、上層と下層に明確に格差が築かれた世界。その状況を打破するために活動する組織「シンフォニア」に、救世の役目を求められた単一の人格しか持たない“独声者”の少年・ソロの物語。
なんだけど、ソロの活躍は最後の最後だけで、それまでは周囲の人物たちのストーリーがメイン。同一の人物でも人格が変われば名前も服装も変わると、徹底してるのでユニークなキャラクターが多い多い。混乱しまくりです。独自の世界観のもとに物語が展開していきますが、造語が多かったりで少し読みづらかったかな。
有する人格の数で社会的地位が決まる世界観のもと、独声者であるソロと彼が守ろうとする少女カノンの不遇っぷりが切ない。明確な悪意で自分より下の人間を虐げようとする描写はきついものがありますねえ。そんな展開が中盤以降まで続くので、決して明るく楽しいなんていう雰囲気がないのです。
終盤の展開は、かなり超が付く感じで唐突すぎるきらいもありますね。世界の真実の件ではどこのワールドよと一人ツッコミつつも最後まで一気に読んでみたり。
新人でしかも上下巻というのはかなり冒険な感じもしますが、上巻の内容がソロがシンフォニアに加わる前段階の、ほぼプロローグ部分であるので、下巻も読んでみないと深い部分まで分からないですね。早めに読んでみよう。
hReview by ゆーいち , 2007/06/12
- 多重心世界 シンフォニックハーツ 上.独声者の少年
- 永森 悠哉
- 角川書店 2006-08-31
コメント
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