レジンキャストミルク〈7〉

2007年6月13日

stars 予想できなかったわけではないけれど やはりこの展開は堪えます

父・樹の帰還、母・鏡の変容、そして無限回廊との関係が明かされた6巻から、ようやく晶らが攻勢に転じる第7巻。

晶の幼なじみの芹菜の奪還という目的自体を餌にした二正面作戦。その中で誰もが最善を尽くしつつも、力及ばないことから生じるリスクを作中の誰もが計算しながらも、この結末を予想だにし得なかったというのが何よりも悲劇。誰が誰を責めることもできず、ただただ自責の念に溺れる中で、最後に悲壮の決意で硝子に命令を下す晶の決意は、これまでの他人を道具として利用し尽くそうとしてきた彼の、冷徹さとそれ以上の哀惜を感じさせました。

作中、大きな力(=世界)を抱えた誰もが、何かを失い、代わりに何かを得ています。そんな大きな欠落の果てに得た力が、壊し殺し滅ぼし廃するどうしようもない負の力であり、失ったものを取り戻すにはとても足りないのが悲しすぎます。
今回のエピソードで、蜜は渇望していた虚海渦解放の力を得ることができました。けれど、その代償として望まず世界に差し出されてしまったものの大切さに気づくには、やはりこれも遅すぎたということでしょうか。

裡に抱えたいた、言葉に出せないけれども確実にそこに在った姉への、妹への好意を決定的に最終的に、どうしようもない形で伝え合った最初で最後のキスの味は、哀しみの味が強すぎてただただ切ないとしか思えません。

次巻が最終巻。世界が望む始まりの終わりには何が待ちかまえているのか。

hReview by ゆーいち , 2007/06/13

レジンキャストミルク〈7〉

レジンキャストミルク 7 (7)
藤原 祐
メディアワークス 2007-06