ぼくと魔女式アポカリプス〈3〉 Nightmare Crimson Form

2007年6月15日

stars 未完!? 未完なのか!? だが続刊の刊行をいつまでも待つ!

前巻での寝々との死闘、そしてレンテンシアを喪ったエピソードの直後から始まる第3巻。レンテンシアの貫いた「選択肢を伝える」という生き方を受け継ぐ決意を固めた澪の前に次に立ちはだかったのは、イかれた双子と、友人の草太、そして……。

生き残ることも、そこで果てることも、結局は同じところにたどり着く時間が遅いか早いかだけの違いくらいしかないかもしれないゼロサムゲーム。澪にとって友人であり、日常の象徴的な存在でもあった一人、草太が物語に大きく関わってきて、早くも苦渋の選択を迫られ掛けるような展開を予想させたエピソード。新キャラとして登場した殺々件の双子姉妹の狂いっぷりは、前巻の寝々に勝るとも劣らないぶっちぎり加減でなんというか、この世界にまともな人間はいないのか、と。

作中で澪が迫られる選択のどれもが、どちらを選んでも後悔するしかないかもしれない後ろ向きな選択肢で、ただ、それでも決して諦めに至らないのは、代替魔術師となり人外で普通の生活など望めないということを理解した上で、それでも「生き」ていたいと願う執着にも似た渇望があるからでしょうか。冥子との共闘関係も利用し利用されるような打算的なものではなく、少しずつ信頼の上に成り立つものに変化していってるように思えますし。だから、彼らが血腥い戦いの中で、価値の軽重の計算の元に、近しい誰かを手に掛けたとしても、それを責めることができるのも、背負うことができるのも、自身たちしかいないのでしょう。

一線を越えきってしまった代替魔術師である澪や冥子、そして今回の敵となってしまった彼女の終わりきってしまっている様とは別に、草太が踏みとどまった日常というもののまぶしさは、そこで立つ人間には分からないもので、きっと道を外れてしまったからこそ、この上なく大切だったということにようやく気付くものなんだろうなあ。

物語の最大の山場が2巻で過ぎてしまった感じがあって、今回も痛いわ重いわ大変な展開なのですが、衝撃度合いとしてはそこまでではなかった印象。そして後書きで一旦シリーズが休止するっぽくてかなりしょんぼり。いろいろと伏線らしきものも張られてきたのに惜しいです。ぜひ4巻以降も出し続けてほしいものです。

hReview by ゆーいち , 2007/06/14

ぼくと魔女式アポカリプス〈3〉 Nightmare Crimson Form

ぼくと魔女式アポカリプス 3 (3)
水瀬 葉月
メディアワークス 2007-06