神様のメモ帳〈2〉

2007年6月16日

stars 見えない奇跡 見える奇跡 それぞれの形

前巻の決して優しくない結末を経てもなお、アリスの助手を続ける決意を固めた鳴海。今回 NEET 探偵事務所に転がり込んだ外国人の少女・メオが抱えてきたバッグの中には2億円の大金が入っていて……。

ということで第2巻。相も変わらず個性的なニートどもが活躍したりしなかったり。全体的にはシリアス調のストーリーなのに、鳴海のツッコミが冴え渡ってどことなくコミカルに見えるシーンの多いこと多いこと。度胸さえ付けば漫才のツッコミ役としても十分やっていけるんじゃあ……(笑)

自身がヘタれと十分認識し、やくざの暴力に怯え、スキルのなさに絶望し、メオの父親の真意の在処の読めなさに憤慨し、と物語を追っていく鳴海自身はそれほど高スペックなキャラクターじゃないのに、ここぞと決めた局面ではしっかりと活躍するあたりさすがは主人公。四代目との義兄弟の契りやら、終盤のハロー・コーポでのハッタリのかまし方、そこに至るまでの機転などは、アリスが舌を巻くのも納得というか。

そして隠された真実が暴かれたとき。前巻は悲劇的な真実が暴かれたのに対し、今回のエピソードではメオに対する、そして「家族」というコミュニティを何を置いても守ろうとした彼女の父親の愛情が感じられました。踏み込んだ領域は決して褒められるものでもなく、法を犯した犯罪者は、けれど良き父であり続けようとした悲しい側面もあったのですから。

「奇跡はだれにでも一度は起きる。だが、起きたことにはだれも気がつかない」

アリスが語ったこの言葉。鳴海が出会った人々との縁がそれと気付かない奇跡ならば、エピローグで起こった出来事はまさに鳴海が望み続けたであろう奇跡そのものだったのでしょうか。こういう暖かみのある結末で物語が締められるとは正直思っていなかったので、予想外に嬉しいラストシーンでした。

あと、ヴィジュアル化された4代目は格好良すぎると思います。なんか作中では貧乏くじ引きまくりな役回りですが、彼のスタンス、組の面子をまとめる信頼を裏打ちするようなイカしたデザインですね。

hReview by ゆーいち , 2007/06/16

神様のメモ帳〈2〉

神様のメモ帳 2 (2)
杉井 光
メディアワークス 2007-06