アリフレロ―キス・神話・Good by

2013年4月18日

stars 炸裂する異次元のセンス そして妙な中毒性

何というか一般受けまったく思想にない独特の文体と、突飛な展開が一部の読者のココロを鷲づかみな中村九郎の作品。

前に読んだ『黒白キューピッド』はまったく彼の感性が理解できなかったけれども、本作はなんとなく面白かった(笑) というかこの作品について語るための言葉を私は持ち合わせていないのかもしれない。

ビリヤードになぞらえた神様のゲームに巻き込まれて、死んだり生き返ったりの主人公・三井川の視点で物語が語られるかと思ったら、視点は飛びまくるわ時制はワケわからないわ、キャラクターの内面やら設定の説明がかなり断片的にしかなされないので、読み終わっても ??? な部分の多いこと多いこと。出てくるガジェットなどはラノベらしいものばかりなのに、中村九郎の手にかかれば歪で、けれどなぜかスピード感のある風味に仕上がってる不思議。何これ。

というか、この作品の文章が異次元すぎるので通常の感性では理解できないのかも。何となく描きたかったストーリーのプロットは推測できても、どこをどうしたらこんなステキな作品が生まれるのか、謎を解くことは放棄します(笑)

というわけでこの人の感性に触れたいと思ったら、騙されたと思って読んでみましょう。大部分の方には文字通り騙されたという感想が浮かぶとは思いますが(^^;

ガガガ文庫の『樹海人魚』も買ってしまってるんだよなあ。怖いもの見たさここに極まれり、ですね。

hReview by ゆーいち , 2007/06/16

アリフレロ―キス・神話・Good by

アリフレロ―キス・神話・Good by
中村 九郎
集英社 2007-03