恋はいつだって唐突で……唐突すぎるわ!
関わる人間すべてが芸能関係者だったり芸能人の卵だったりする歌劇学園に、「なんとなく」で入学してしまった主人公の拓海。自宅に TV がないことから、学園が制作する様々な番組──学園カゲキ──の存在を知らないという奇特な彼が入学したことから始まるラブコメディ。
ってな感じなのですが、物語の(文字通りの)舞台裏が、早い段階で仄めかされて、そして想像通りの展開で、構造的には『上等。』シリーズから超常な部分を取っ払った感じですね。だから、エンタテイメントに関わる部分でのシビアさや、あるいは汚い部分までが妙に生々しかったりするんですが。
そういった都合上、終盤、拓海の関わっていた番組の種明かしがされる辺りはやるせない気持ちになるし、どうにも微妙な感情を抱いてしまいますね。
また、本編の中心は、拓海とヒロインの九月の恋愛になるはずなのに、ふたりの感情の発展が、出会いが最悪に近かったのにそこから好意を抱くに至る過程が、かなり端折られてるのが、この展開の早さを唐突と感じる要因と思いました。作品の仕掛けとして、九月の抱いた感情のどこまでが本気でどこまでが演技が分からなくさせようとしているのなら、ちょっとヘタを打った構成かなと。
まぁ、九月の暴走・勘違いからの唐突の告白~急転直下の展開~ネタ晴らしの流れは、意表を突かれ驚かされもしましたが、全体の流れからするとぶつ切り感が強くて、1冊で1年分の大きなエピソードを詰め込もうとしたのは欲張りすぎだったんじゃないかなという感じがしました。
hReview by ゆーいち , 2007/06/26
- 学園カゲキ!
- 山川 進
- 小学館 2007-05-24
コメント
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