過剰に注がれる愛情を 受け止めきれるか? 藤森くん
男装した女生徒が、女装した男子生徒の心を競って射止める一風変わったイベント「六月の花嫁」に、花嫁役として半ば強制的に参加させられることになった主人公・里見。彼の生徒会への関わりを、頑なに拒む幼なじみの吉野との関係も微妙にぎくしゃくし、けれど、その原因となった生徒会長の和美が約束の少女であることに確信じみた予感を抱いて、その想いはふらふらふらふら……。
里見の優柔不断ぶり、独善ぶり、空気読めなさぶり、あらゆる行動が鼻についてしょうがないお話でした。自分がよかれと思い取った行動が尽く裏目に出るのは時と場合によっては、ここまで胸くそ悪くなるのかと。黒幕的な真行寺の行動も、いちいち気にくわない。というか彼の存在がどうにも許せないようです、私。壱乗寺かるたの描く、こういうしたり顔の、権謀術数に富んだキャラはむかつきますね。や、キャラ立ちしてるけど。こういう学生いないだろとも思いますが。
なんだか過去の里見と和美の出会いにも、表沙汰にできない理由とかがありそう。というか、和美の言葉をその通りに受け止めると、なんとも一気に背徳的な関係に発展してしまう可能性ががが。
今回の吉野の無鉄砲ぶりとか視野狭窄ぶりとか、恋は盲目にしても、端から見ると空回りしすぎな気もする、あまりに一途な気持ちが、報われることこそが、このこんがらがってる人間関係を納める最良の一手の気がするなあ。長台詞で延々と「好き」を連呼する彼女のいじましい愛情は、里見にとって薬となるかはたまた注ぎすぎた水のように、彼の根を腐らせることとなるか。里見の器の大きさが感じられないと、単なるヘタれの印象が拭えないんですよねえ……。
hReview by ゆーいち , 2007/07/07
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待ってて、藤森くん! 2
著者 壱乗寺かるた
イラスト カントク
レーベル 富士見ミステリー文庫
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