戻りたいあの時間 もう一度繰り返せるのなら何かが変えられる?
大切なものをひなた橋から川に流すと、望んだ時間からやり直しができる。そんな迷信めいた不思議に関わった少年・少女たちの物語。
取り戻したいものは、失ってしまった夢だったり、亡くしてしまった大切な人だったり、ぼろぼろになってしまった家族の絆だったり。一つのグループが夏の合宿で海を訪れ、回想する形でそれぞれのエピソードを綴る形式は、その構成の意図はともかく面白いかな。
不思議の中心にいるユメという少女の存在の正体が最後まで明かされず、目的も不明なままで、物語のトリガーとなる大切なものを引き替えにする、という設定自体が良くあるもの以上に感じられず、この作品独特の理由付けがされてないのが説得力の弱さに繋がっているように思います。そういう雰囲気の作品としては、『ラキア』や『天使のレシピ』とかもあるけれど、これらも2巻が面白くて1巻は微妙という感じだったので、そういう点からも似てるかも。
やり直したい時間があったとしても、そこから再スタートして辿り着ける結末は、決して幸福なものではないけれど、その経験を経て少しだけ大人に成長するという、そんなおとぎ話。2章の「forget me not」とかはありがちなテーマだけど、ストレートに描かれると弱いんですよね。
hReview by ゆーいち , 2007/07/26
- ひなた橋のゴーストペイン (電撃文庫 あ 22-1)
- 有澤 翔
- メディアワークス 2007-07
コメント
コメント一覧 (2件)
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