現実を浸食する”霧”の夢
《調停者》を使用した人間が共通して見る”霧”の夢。同じくして時期外れの転校をしてきた少女。学園の周囲で起きる不審の背後には、かつて敵対した“愚者”を名乗る人物が絡んできて……。
今回で完結のシリーズですが、《調停者》絡みの秘密はほとんど明らかにされなかったのが残念。もっと話のスケールを大きくしていける設定だったと思うけど、そこまでインフレせずに、どちらかというと淡々と事件に巻き込まれ、なんとか逃げ延びるというような展開に終始していたという印象でした。それでも、これまでに関わってきた事件や人物が、今回集大成的に再登場したりして全体を通してみると破綻なく完結した作品とも言えそうです。
樹と伊緒の関係は、今回のエピローグでようやく大きな進展を見せそうな雰囲気。やたらと良い感じのところで終わってくれてるので、その先のシーンについてはいろいろと考えられますが、伊緒の好意と、その裏返しにあったちょっとした復讐心のお話とか見ると、やはり樹はこれまでのように伊緒に頭が上がらない毎日を送っていくのかなあ。
そんな感じで、派手さはあまりないけれども、3冊できれいにまとまった作品でしたね。
hReview by ゆーいち , 2007/10/18
- リバーシブル 3 (3) (角川スニーカー文庫 194-3)
- 水月 昂
- 角川書店 2007-07
コメント
コメント一覧 (1件)
[水月昂] リバーシブル 3.白の悪夢…
霧の夢を見たのは、オレだけでなく、桐也や和美さんなど、伊緒を抜かしたいつものメンバー全員が見ていた。『調停者』の存在がある以上、偶然で済ますわけにはいかない。何が起きた…