エピローグ一つで評価ががらりと変わる作品
万物に宿る、「何者かが操っている“糸”」を見、操ることができる異能・繰糸術の家系に生まれた少年・睦月透真。彼の母が行方不明になってから1週間。母の関わっていた仕事を仲介していた男・山田は、透真に母の仕事を継ぐように迫る。そして、それが生死不明の母の失踪の真実に迫る唯一の方法と信じ、透真は街で別の異能が起こしていると思しき猟奇殺人事件の調査を始めるが……。
うん、確かにあちこちの感想で見たとおり中二病全開の展開ですね。地の文で異能・異能連呼されるとアイタタタって感じになってしまいます。そこで引っかかると最後まで楽しめない感じなので、ある意味ハードルは高いのか?
人外に改造され、全身に一〇八の刀を仕込む作品集No.14ことカタナや、透真に仕えることを徹底的に仕込まれた“人形”、黒メイドな冥、日常の象徴的なクラスメートの少女と、テンプレ的なキャラクターが入り乱れつつ、二流三流の悪役をぶち倒したかと思ったら、その裏には実は、な展開。
まぁ、エピローグで明かされた事件の裏側が、なかなかに衝撃的で、そのためだけに次巻を期待してしまいたくなりますね。
作品の雰囲気的に、安易な救いを与えるよりは、誰も彼もが文字通り操られているという無慈悲さでもって、バッドエンド直行でも文句は言いません。
……キャラはいいのに、それぞれの見せ場の盛り上げ方がいまいちすぎるのが全体としてぱっとしない印象になってるのかなあ。
hReview by ゆーいち , 2007/10/30

- 繰り世界のエトランジェ 第1幕 (1) (角川スニーカー文庫 202-1)
- 赤月 黎
- 角川書店 2007-07
コメント
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[赤月黎] 繰り世界のエトランジェ 第1幕 糸仕掛けのプロット…
俺と母さんは、人を操ることができる糸を視ることができた。母さんから連絡が途絶えた後、山田と名乗った男は、母さんがこの力をもって町の闇と戦っていたと伝えてきた。そして、連…