曰く「ゴシックホラー風味エロチックラブコメ」 ……ホントえろいよ(笑)
奇妙な夢から目覚めた朝。クラス委員として早めの登校をしている主人公・琴也は、その途中、見知らぬ少女から告白を受ける。「やっとわたくしを愛してくださる人に巡り会えた」と。傲岸に、不遜に、琴也の背を踏みつけながら言った少女は、霧間留美華と名乗り……。
一方的に告白を受け、そして自分を好きになりなさいと命じられた琴也が、留美華の尻に敷かれながらも少しずつ彼女に惹かれていく物語……などではなく。留美華は自分の身体を取り戻すために策を弄する魔女で、琴也は彼女に見初められた生け贄に近くて。琴也がくちづけをすると、その箇所が留美華に奪われる──というより捧げられるわけですが、その描写がなんともエロス。過剰なくらいに耽美で淫猥な雰囲気を醸し出してますね。まぁ、レーベルの雰囲気に比してという感じで、本家のその手の作品と比べるものではないですが。
琴也が留美華に惹かれていく過程がかなりすっ飛ばされて、なんだか気が付いたら身も心も留美華に捧げてもいいや、的思考になっていたのはやや超展開な感じ。留美華も年相応の女の子らしい側面も持っているものの、そちらよりも魔女としての悪さや女王様的態度が前面に出てるので、ふたりの奇妙な関係の唐突な進展にはややとまどいます。
サブキャラとして登場した修道士見習い・雨宮嬢は微妙な扱いだし、1章を割いて語った別の魔女のお話は必要だったのかとか疑問もあったりと、構成的に見ると語るべきところを語り切れずに、風呂敷を広げてしまった感じもあり、そのせいで終盤の展開が早足に感じてしまうのかな。
最後はなんだかんだでハッピーエンド。作品の雰囲気は悪くないし、こういう系統はMF文庫Jにはあんまりなさそうなので、耽美系な書き手としていろいろな作品を出して欲しいかな。謎は残したままとはいえ、本作自体はこれ以上続けるには無理がありそうだし、別の作品に期待です。
hReview by ゆーいち , 2007/11/13
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