失ったものを取り戻すために 不条理を理不尽で殴りつける 雫のラストゲーム!
アリスの兄・アーサーが仕掛けた罠は巧妙にして悪質。地球人類すべてに、伏せられていたゼイの秘密、ゲームの真実、そして自らの価値が伝えられ、それは大きな変革を否応なく予感させた。
郁恵の死を引き金に、第3段階への進化のために雫たちのもとを去る冬湖。再び心を閉ざす聖一。結果、〈ジュライ〉は事実上の解散状態となり、雫もグランプリの優勝、兄への再会という目的半ばにして、日本への帰国を余儀なくされ。
失意からの再起、雫が雫らしくあるために、兄の足跡を辿った終着点で、彼女は最後のゲームを決意する。
激しく設定がインフレして、どうなることかと思っていたら、最後の最後は1巻ばりのスポ根で熱血な展開に激しく燃えた最終巻。
ゲームの才能という点において、世界のトッププレーヤの中でもほんの一握りにしか許されない領域に到達した、真の天才たちと渡り合う、「一般人代表」な雫の、誰にも負けないというその信念が熱い。そんな彼女の戦いを見て、世界が一つになるという展開も、これまたベタながら激しく燃える。
序盤の失意な展開は見ていて辛いものがありつつも、彼女が本領を取り戻してからの無理無茶無謀をとにかく押し通す勢いは、これまでのシリーズ同様、だからこそ感動を生み出す原動力たりえましたね。
全4巻という比較的短いシリーズながらも、とにかく盛り上がり続けていったお話でした。次作がこういう方向性の物語になるかどうかは分かりませんけど、きっと楽しい物語になることを期待して、その日を待ちたいと思います
で、ソラの名前の由来があとがき読んでもピンと来なかったんですが、元ネタはこれみたいですね。確かに、まんまだわ。
hReview by ゆーいち , 2007/11/23
- クジラのソラ 4 (4) (富士見ファンタジア文庫 159-5)
- 瀬尾 つかさ
- 富士見書房 2007-11
コメント
コメント一覧 (2件)
[瀬尾つかさ] クジラのソラ 04
アリスの兄の計画は巧妙だった。アリスを守るために、他の犠牲を考えなかったのだろう。命を懸けた行動は、たしかに彼女を安全なところへと押しやったが、犠牲は大きかった。取り乱…
[感想][★★★★☆][瀬尾つかさ]「クジラのソラ 04」
「泣いてるのか?」 「泣いてないわよ。ただちょっと、その。――ええと、これもまだ中継されてるの?」 「ああ。何かいいたいことはあるか」 「ええ、っと」 「うん。ええと、ひと…