田中ロミオの味が前面に出てきてファン狂喜
人間が地上の覇権を新たなる人類──妖精さん──に明け渡し、緩やかな衰退の道を辿る世界。妖精さんたちとの「調停」を生業にした“わたし”の、なんだか緩くてほのぼの、けれど時には大自然の厳しさを味わえる日常の記録、そんなお話の第2弾。
出ましたね。いつまでもどこまでも、だらだらと続けられそうな作品なので、出ないわけがないとは思っていましたが。
前巻では、田中ロミオというネームバリューが先行していたような感じで、作品の内容は、個人的に予想していたようなロミオ色が前面に出ていたものではなかったのですが、第2巻になって、作者も編集も読者の感想がそうさせたのか、本来のロミオらしい作品を目指して執筆されたように感じます。
可愛らしい妖精さんが闊歩するメルヘンな世界なのに、突然弱肉強食のシビアな生存競争の場に突き落とされたり、なんだかよく分からないうちに、無限ループ時空に捕らわれてしまったりと、“わたし”も良い感じで苦労重ねてます、が、あんまり気にしてないですね。
特に後半のエピソード「妖精さんたちの、じかんかつようじゅつ」は、ロミオ作品である『CROSS†CHANNEL』とか『神樹の館』を彷彿とさせるような設定が出てきたり、過去に氏の作品に触れたことがある読者ほどニヤリとさせられる演出なんじゃないでしょうか。
助手さんの自分探しの旅というもう一つも目的も、なんとも面白い形で収拾を付けたりと、構成の妙に唸らされますし面白い。ここにきて、ようやく「小説家田中ロミオ」の作風と方向性が定まってきたんじゃないでしょうか。
hReview by ゆーいち , 2007/12/28
- 人類は衰退しました 2 (ガガガ文庫 た 1-2)
- 田中 ロミオ 山崎 透
- 小学館 2007-12-19
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[田中ロミオ] 人類は衰退しました 2
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[感想][★★★★☆][田中ロミオ]「人類は衰退しました2」
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