ドキドキワクワクなリンネの冒険第2弾!
時載りの職人・ジュビュックの手による不思議な書棚。中に納めたものの時間を止めるというそれを、大切に使ってきた老婦人・緒方と仲良くなったリンネは、彼女から今度開催されるオークションにかけられる、ジュビュックの家具の鑑定・落札を依頼されて……。
時載りから時砕きへと華麗な変身を果たしたリンネは、別に何も変わることなく相変わらず本は読まないわ、甘いものは大好きだわ、久高たちと過ごす毎日は平和だけどきらきら輝いていて楽しそうに過ごしているみたい。けれど、やはり冒険へのあこがれは捨てきれず、時砕きとなったおかげで変身後のコスチュームを悩んでみたり、決めポーズをこっそりと考えていたりと、そんなところは普段の跳ねっ返りなところとは違って女の子だったり。
そして、彼女の感じている楽しさとかが文面から滲んでいて、本書を綴っているという久高自身の彼女への温かい気持ちも感じられて、なんとも優しくてきれいなお話に仕上がっています。小学6年生の男の子が、やたらめったら凝った言い回しを使うのは、未だにちょっと違和感あるんですが。教養溢れる少年です。
今回も後半は、時載りの残したとあるアイテムを巡って、逸脱者たる時載りとの対決。この辺の描写は、前半の美しい世界の描写と違って普通な感じがして、戦闘の危機感とか緊張感とかとは縁遠い印象。もともと、リンネの言葉通り、大団円な結末になることがわかっているので、あくまでハッピーエンドへの過程として、リンネが成長する試練として、用意されているような印象ですね。
ラストは久高の妹・凪による反則気味の解決方法で、すべて元通り。これはさすがにご都合にすぎるように思うのですが、リンネと久高の関係こそが、こういった素敵な出来事を生み出す起点であり、だからこそリンネが「時の旋法」に選ばれた理由の一つだったりするのですかね。
一つの冒険の後には、さらに大ききな冒険が待っていて。正式に時砕きと認定を受けたリンネの、本当の冒険はきっとこれから。いろいろな出会いと別れがあって、きっと誰かと争うこともあって、でもその終わりは彼女が望んでいるような大団円で。彼女がそう望む限り、悲しい結末なんて予想できない、ドキドキに溢れた物語は、これからも続いていくんでしょうね。
hReview by ゆーいち , 2008/01/05
- 時載りリンネ! 2 (2) (角川スニーカー文庫 203-2)
- 清野 静
- 角川書店 2007-12-01
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[清野静] 時載りリンネ! 2.時のゆりかご
夏休みも終わったある日、大量の本を寄贈してくれた品の良さそうな老婦人の緒方さんと仲良くなったリンネは、そこで、変わり者の時載りが作った魔法の書棚を見せてもらった。なんと…