C3-シーキューブ 〈2〉

2008年8月7日

stars フィア 学校へ行く

父からまた荷物が届いた。中には手紙と──私立大秋高校の制服と教科書一式。「キューブリック」の名字を与えられ、春亮とともに学校へ通えることになったことに喜ぶフィア。そして登校初日、入学の便宜を図ってくれた理事長・世界橋ガブリエルへ礼を言いに訪れた理事長室。そこで、春亮は理事長から新たな呪いの道具「王権を果たす完全人形」の管理を依頼されて……。

ホワイト水瀬葉月!? もう、グロ分がかなり薄れて、萌え小説の様相を呈してきましたよ? それでも、物語のギミックや、キャラクター設定の一部に、水瀬葉月らしさは生きていますが、これくらいのレベルだと、抵抗を感じないで済みそうです。逆に、ヘヴィな展開を期待しているとやや肩すかし感が残りますが。

人間にあこがれ、人間になることを夢見るフィアは、学校に通えること、名字をもらったことに純粋な喜びを表します。自らの出自を呪い、絶望視、力を失うことで人間に近づくことを望むフィアが、人間として扱われることの意味はとても大きいものなんだろうなあ。彼女の心底の笑顔は本当に幸せそうです。この辺の日常の掛け合いは、これまたやたらと楽しいですね。

呪いの道具「王権を果たす完全人形」・サヴェレンティと新キャラ・桜参白穂の関係と事件の収集は、途中での意外な展開を含めて、まさに大団円的な結末。これでもかと人死にを出しまくり、鬱々真っ盛りだった前作とは別の方向へ向かおうとしてるのは明らかですね。委員長・上野錐霞の背景だけは真っ黒な感じですが、彼女の性格も前向きな感じなので、どこかで救いがあると信じられそう。

萌えを全面に出したさそりがため氏の表紙絵とエロさ全開の挿絵の数々。萌えグロを目指す水瀬葉月の新境地、これはこれで先が楽しみなお話になってきましたね。3巻打ち切りの壁を是非突破してほしいです。

hReview by ゆーいち , 2008/01/26

C3-シーキューブ 2 (2)

C3-シーキューブ 2 (2) (電撃文庫 み 7-8)
水瀬 葉月
メディアワークス 2008-01-10