とある魔術の禁書目録〈15〉

2008年8月14日

stars 学園都市の闇の奥の死闘 この物語に、幻想殺しの少年は登場しない――

学園都市の不穏分子を闇から闇へ消去するために活動する『グループ』。一方通行や土御門らが所属するそれは、学園都市統括理事・親船最中暗殺の阻止のため、同位の組織『スクール』と対立する。時を同じくして動き出す、『アイテム』『ブロック』『メンバー』。それぞれの思惑を抱え、生き残りをかけ、組織同士の闘いが始まる。

一通さん大活躍!

レベル5の超能力者が揃い踏みで、科学サイドの暗部で、生き残るためのバトルロイヤルが開始される展開。登場人物がやたらと多いわ、出てくる側から退場するキャラはいるわ、その容赦のなさは、さすが一通さんサイドの物語。

以前にも登場した、レベル0・浜面仕上。上条と異なり、本当に何の能力も持たない彼が、大きな力を持つ組織同士の闘いに否応なしに巻き込まれ、恐怖と絶望の中で、なけなしの勇気を振り絞って立ち向かう姿は、上条と被りますね。一通さんの中に残る、上条の影と同様に、浜面の中に残っていた上条の姿は、上条が直接的にその手で救って見せる誰かとは形は異なるけれど、確かに浜面に救いを与えていたように思えます。殺伐として、ドライな関係でしか繋がっていない組織の人間関係の中で、暖かみを感じられた浜面の行動でした。

一通さんの方も、悪を名乗りながらも、その悪をふるうべき相手を厳密に定め、それ以外のひとたちを可能な限り護ってみせるという、確固たるポリシーを秘めた存在へと変わってきてますね。科学サイドの、アレイスターの計画の中枢に近い、彼の存在と能力の秘密が、また少し明らかにされてきましたね。黒い翼と、あり得べからざる超常の法則と暴力を司る、彼の能力の真の意味は、また、物語の根幹に関わってきていそうですね。

そして、謎のキーワード「ドラゴン」。前巻で語られた神上と同一存在なのか、対立存在なのか、また気になる言葉が出てきましたね。

全体的に、上条が出てこない方が盛り上がるというのはどうかと思いますが、今回は非常に熱く、燃えた展開で大満足でした。

hReview by ゆーいち , 2008/01/27

とある魔術の禁書目録 15

とある魔術の禁書目録 15 (15) (電撃文庫 か 12-16)
鎌池 和馬
メディアワークス 2008-01-10