出会いと別れ クダンの訪れた街で起きる不思議な物語
北海道のとある街にクダンはいた。喫茶店 Dragon でアルバイトをしながら鵺を探している。この街に残る、コロポックルのうわさ話を手がかりに。
そんな街を旅行で訪れた元“コクバン”管理人の美千恵。自分のドッペルゲンガーを探すために故郷を訪れた彼女は、クダンの占いと、不思議な手形を付けて回る小学生に遭遇して……。
大人になるということが、世界の在りようが変わることと同義に思えていた小学生時代。そんな思いに囚われた人たちが、クダンと出会い、その未来の予言によって、その運命を辿っていく物語。
クダンが真摯に告げる予言を、自分の心の状態ひとつで良く受け取ることも、悪く受け取ることもできる人間の心が、悲しい結末を生んだ物語もあり、そんな心があるからこそ、大人になるための痛みを甘受して、一歩を踏む出す物語もあり。予言者であり、彼らに以降、関わることのできなくなる、ある意味、傍観者たるクダンの心の中にのみ残る、思い出はしんしんと積み重なっていって、彼女の心にのみ痛みを残し。
街から街へと、別れの悲しみを味わいながらも、悲願のために旅を続ける彼女が、鵺と巡り会い、その力を消すことができる日が来るのか。クダンの持つ力があったからこそ、彼女が出会い、親しくなった友達を救うことができたというのに、その代償が大きいからこそそう願うのでしょうけれど、力をなくしてから彼女が望む生き方というのは何なんでしょうね。
あとがきの雰囲気を読むと、ここでいったん完結? だとしたら、ちょっと残念かなあ。
hReview by ゆーいち , 2008/02/02
- クダンの話をしましょうか 2 (2) (MF文庫 J う 3-6)
- 内山 靖二郎
- メディアファクトリー 2008-01
コメント
コメント一覧 (1件)
[感想][★★★☆☆][内山靖二郎]「クダンの話をしましょうか2」
「ねえ、香奈…あなたが忘れてしまう前に、お礼と愚痴を言わせて」 「えっ、なに?」 「あなたが忘れても、私はずっと憶えているから。あなたのことを憶えているから」 「それが……