魔女ルミカの赤い糸〈2〉

2013年4月18日

stars 魔女を生み出す淫靡な儀式

魔女の力を失った留美華は、変わらず今日も琴也の元へ押しかけてきている。すでに監視対象ではないはずの留美華を、けれど由奈は見張ると言いながら、琴也と留美華の間に割って入ろうとしていて。文化祭開催が迫ったある日、クラス委員の琴也は文化祭準備委員として委員会に参加する途中、来年度から変更が予定されている学校の制服のデザイン候補を、ファッションショウ形式で発表し、人気投票を行うという企画を一人で進めている女生徒・霜月美弥に出会う。気安く彼女を手伝うと請け負った琴也に釣られるように、留美華と由奈も参加して。
その背後で進行している魔女の魔手に、まだ誰も気付いていない。

なんだか知らないうちに設定が追加されていました。というか、主人公が新たな力に目覚めました。なんか、唐突。その手段が、前巻の焼き直しかのように、口づけで力を他者に力を与えるというもので、これまたなんとも描写がむやみの淫靡な感じ。そのシーンの描写は、ひときわ力が入ってませんか?

学校の多数の生徒から影を奪うことを目論むメルリス。彼と共謀し、その策を実行に移す魔女・イシュルメ。新たな魔女の登場に、力を失われた留美華がどのように対抗するかと思っていたら、この展開。そして、生まれる新たな魔女・魔女。って増殖しすぎですわー。

琴也の力は、自分の身を削り、激痛を伴うもののはずなのに、なんだか乱発気味なのが気になります。というか、あの描写だと、普通に死んでいてもおかしくないのに、ぴんぴんしているのはなんでなんでしょう。この辺にもまだ隠された設定が潜んでいる? ラストではメルリスがまた物語をインフレさせそうなことを呟いてるし、一体どうなることやら。

見所としては、やはり琴也の力が発揮される口づけのシーン。なんでキスするだけなのに、ここまでぇちぃ描写になるのか。何気に大変なところにまで口づけているし、一歩間違えば別レーベル作品ですよ。この辺に挿絵を持ってこないのはさすがに危険と思った誰かの良心? や、見てみたい気もしますが。
そして、この作品でも、主人公女装させられてます。そして、なんだか癖になりそうになってます。目覚めかけてます? 微妙にアブノーマルな趣味を持つ琴也と、女王様然としてSっ気全開の留美華の関係というのは、面白いものですね。もう、限界突破しちゃいなさいよ、ふたりして。

逆に、人物の内面の移ろいというのは、相変わらず描写が足りてない気がするんですよねえ。唐突に心変わりしてしまったかのように見えてしまう急展開は、今回も健在でした。

hReview by ゆーいち , 2008/02/03

魔女ルミカの赤い糸〈2〉

魔女ルミカの赤い糸 2 (2) (MF文庫 J た 5-2)
田口 一
メディアファクトリー 2008-01