世界を手中に マリアの遠大な野望の幕が開ける
商業都市国家・ドラヴィア共和国は女であるという理由だけで、何も手にすることができないという絶対的なルールが存在していた。国の実権の序列二位のコントラーリ家に生まれたマリアは、父譲りの才覚を持ちながらも、そのルールゆえに未来が閉ざされていた。しかし、マリアは諦めない。この国を、世界を手に入れるため、動き出す。侍女であり親友であるアッシャとともに。
国の頂点を目指し、弱冠十三歳の少女・マリアが親友のアッシャとふたりで始めた国盗りの物語。若く、女であるという、舞台となるドラヴィアにおいては絶対的なハンディを物ともせず、清濁併せ持ち、権謀術数を駆使し、ただひたすらに駆け上がっていこうという、若々しい野望に溢れたお話でした。
周囲が敵だらけの状況で、小さな足がかりをもとに、少しずつ地盤を固め、協力者を集めていくマリア。まだ、甘さの残るマリアと、時には侍女の立場でなく、親友として対等の立場から彼女に変わって冷徹な判断を下せるアッシャと、このふたりの主人公の関係が、単なる主従という関係ではなくどこか仲睦まじい姉妹の姿に見えます。
先の長そうな遠大な物語の始まりは、まずはマリアの生まれた家・コントラーリ家内での序列を上げていくことから。彼女の敵となることが確定している兄たちと、実父を相手に、この幼いながらも大器を持ったマリアがどのように渡り合っていくのか。その先にある国を手にするという絵はまだまだ具体的には見えませんが、どこまでも戦い抜いていくことのできるであろう、強い意志を秘めた彼女の物語。続きが楽しみですね。
hReview by ゆーいち , 2008/02/13

- 征服娘。 (集英社スーパーダッシュ文庫 (か12-1))
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