嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん4―絆の支柱は欲望

stars 人の精神が元から角のない丸形であるはずがない。歪んでいたそれを整えるのが、精神の成長だから

マユが破綻した。僕の迂闊さゆえに。そして、僕もみーくんを失った。壊れてしまったまーちゃん、消えてしまったみーくん。僕はマユを「直す」ために、手がかりを求め、かつて暮らしていた家を訪れる。なぜか、伏見もおまけにいるけれど。けれど、その家は、今は大江家と名を変え増改築によって見る影もなく、そして、そこに暮らす家族はどこか歪んでいるようで。果たして僕は見事お宝を発見して、マユを元に戻すことができるのか? 嘘じゃ、ないよ?

唐突に話が飛んでいる感もありますが、訪れるべくして訪れたマユの崩壊。その辺をあっさり目に流しつつ、けれど、そのシーンはぞくりとさせられつつ、僕のマユに対する感情はようやく一つの方向へ向けて流れていっているような感じ。

かつての実家は今はホテルみたいな洋館と化して、そこで発生する連続殺人、陸の孤島と化して脱出不可能になってしまった家の中で、ひとりまたひとりと誰が犯人なのか分からずに早三人。正直誰も彼もが怪しくて仕方ない。もう、全員別のひとが殺していても驚かないよ、私は!?

隔離された、切り取られた世界で、なんだか歪んで育ってしまった子どもたち。プライドばかりで能力が付いてきてないっぽい家長。この歪な家族関係の結末は全滅エンドになりかねない気もするのだけれど、このエピソードが果たしてどのようにマユを救う話に繋がるのか。

そして、僕が忌避して近寄ることもできない地下にこそ、真実がありそうなんだけれど、ありがちかなあ? また、予想の斜め上の嫌らしいトラップで驚かせてほしいところです。

hReview by ゆーいち , 2008/04/27

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 4

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 4 (4) (電撃文庫 い 9-4)
入間 人間
アスキー・メディアワークス 2008-04-10