ミステリクロノ〈3〉

stars それでも今は一緒にいたいと思ってるから、これからもできる限り一緒にいよう

真理亜への態度を慧は一変させた。彼の態度の変化は、真理亜自身も変化させた。自分でできることはするようになった、友だちもできた。けれど、真理亜の心は晴れない。慧との距離の開きに耐えきれなくなった真理亜は家出を決意する。そして、慧に知らされる、真理亜の家出と、彼女の誘拐、そして新たなクロノグラフ・リグレクトにより、真理亜は消滅の危機にあるということ。残された時間は少ない。

慧の心変わりの非道さに多少引きつつも楽しめた第3巻。

残された時間は48時間弱。真理亜の消滅という、これまでにない危機に、別れを仕方なしと諦めていた慧も心を入れ替えた? その気持ちが表れているラストは綺麗ですね。真理亜に宿りつつある人間らしい気持ちは、悲しみも生むけれど、暖かな気持ちも確かに生んでいますから。

犯人を追い詰めるための慧の秘策も、手持ちのクロノグラフが増えてきているせいか、よりトリッキーになってきてますね。時間を操る道具を手にしているだけに、物語の流れの前後を巧みに誤認させて、ここぞという場所で種明かし。プロローグの絶望的な展開からの大反転、これはやられましたね。

にしても、今回の犯人の動機はともかく、クロノグラフを手に入れたいきさつとかがさっぱり。これまで以上に特殊な効果のあるものだけに、やはりこれは入手の過程に何らかの思惑があったのかと想像できますが。三田るちやの言動といい、真理亜に科せられたクロノグラフ回収の任は、罰以上の意味があるのでしょうか?

hReview by ゆーいち , 2008/05/11

ミステリクロノ 3

ミステリクロノ 3 (3) (電撃文庫 く 6-9)
久住 四季
アスキー・メディアワークス 2008-04